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悪魔がウチにおりまして・720

ウチには悪魔が居る。

あずきをこねこねしている悪魔が。


「ニンゲンも手伝ってください!無限に茹で上がってきます」

三行で節め……この物語で3行は長すぎる!

「ニンゲンさん、老人会の会場はあっちです」

モグラ!誰が老人だ!

「ぽんちゃん!お砂糖!」

悪魔が悲痛な叫びを上げると、うぱがどさりと砂糖をぶちまける。

「うぱちゃん!?入れ過ぎですー!」

甘いのよねぇ、うぱの砂糖……じゃなくて。

「なんでこんなあんこ工場になってるの?」

手に大きな木べらで鍋を混ぜながら悪魔に尋ねる。

「ぼたもち作りですー」

あまりにも遅い!

「悪魔、ぼたもちは春よ?」

「お菓子に季節があるのですか?」

どうやらお花の咲く季節らしい、詳しくは知らない。

「ならぼたもちです」

そうそう、間違いは直して……直ってない!?

「手伝うのやめようか?」

「混ぜてください。ボクは今モチ米を粉砕するのに忙しいのです」

物騒な物言いするんじゃありません、せめて半殺しと……こっちの方がマズイ気がする。

「ニンゲンさん、混ぜる速度が速すぎます。あずきは適度な速さで混ぜなければ味が落ちます」

モグラが諸説ありと付け加えるのだが、それを確かめる術もない。

「うぱが遠慮なく砂糖流し込んでるのは?」

いつの間にかあずきよりも多い砂糖入ってるけど。

「……うぱちゃんに制止が効くとでも?」

ちらりとうぱを見たモグラは徐々に視線が遠くなる。

踊りながら鍋に山を作っていくうぱを見る限り、それは無理なんだろうなぁ。

「うぱちゃん!?モチ米にお砂糖を……お塩?中和?それ神ちゃんと同じ理論です!」

また気まぐれに人類に悪影響出るから危ない発言はやめてよ。

「呼んだ?」

「呼んでない!」

メシマズ嫁……じゃない神ちゃん登場。

今日のお口が緩くていけません。

「餡団子作ってるの?」

その呼び方、別の物になっちゃうんだよね。

「手が足りないのでしょう、私も手伝いを」

「神ちゃん、羊さんがヤギになってました」

悪魔、忙しすぎて気の逸らし方へたくそすぎるでしょ。

「あの人がやっぎーに!?行ってくるー!」

なんで釣られるんだよ。

「ふう、最大の危機は去りました……うぱちゃん!?砂糖で中和はダメです!」

……食べ物作ってるんだろうか、私。


ウチには山盛りのおはぎが並んでいる。

「なんで美味しいのかしらね」

ご近所含めてひとつも無駄になりませんでした。

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