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悪魔がウチにおりまして・715

ウチには悪魔が居る。

妙に張り切っている悪魔が。


「ニンゲン!今日こそボクの力に恐れおののくです!」

「うぱちゃんダメでしょー、ココアをお湯で溶いたらー」

「ニンゲン!?それには同意しますがボクのこと全力無視はいじめですよ、泣きますよ!?」

うっすらと泣いてるんじゃないわよ。

「うるさいわねー、いきなりそんなこと言われて、相手にするわけないでしょー」

なにせ私は半分ニンゲン辞めてるらしいですしー、しー、しー。

「恨みがましいのです、ニンゲン!過去は振り向かず生きていけです!」

「悪魔、昨日アンタの買ったプリン、食べちゃった」

「ふぁーーーーっく!」

嘘だよ、振り向かないんじゃないのか。

「そんなことよりニンゲン。ボクの実力を見て恐れおののいてください、お願いします」

丁寧に頭を下げる悪魔。プライドとかないのか。

「実力って?さっきからでーんと置かれてるパンチングマシーン使うの?」

「ですです!悪魔ぱぅわーを数字化できる画期的なまっすぃーんです!」

クセのある言い方だこと。

「力って言ったら電気は?それもすごい力だと思うけど」

コイツ、確か電気を出せたはず。

むしろ普通に腕力あるよりよっぽどすごい。

「あんなの誰でもできるですー」

……認識のズレって怖いわぁ。

「なので!ボクの悪魔ちからを見せてやるです!」

おー、頑張れー。

悪魔は脇にあったグローブを両手に嵌める。

パンチングマシーンの隣にいたクモは電源を入れた。

一瞬ピカっと光ると、デジタル表示が灯った。

「行くですよ……やー!!」

悪魔はマシンの前に立つとゆっくりと後ろに下がる。

そしてそのまま走って頭からダイブ。

殴れよ、殴るぞ。

頭から突っ込んだ悪魔はデジタルの数字を見ている。

電子音が鳴って数字が上っていく。

「いけ、いけ……あー!ニンゲン、ちゃんと床を磨いておくですー!」

数字は300で止まった。その数字に悪魔は不満げである。

「うぱ、ハンマー作れない?」

うぱは手の甲でぺしんと叩く。……ツッコミ?

「せっかくボクの力を見せつけるチャンスでしたのにー……」

悪魔さん、項垂れてるところ悪いんですけどどんどんアンタの評価底知らずで落ちてるけど?

「これで買ったと思うなですー!とうっ!」

悪魔はその場でジャンプした。


ウチには悪魔が居る。

「クモちゃん!なぜ裏切るです!?」

クモにため息吐かれてぐるぐる巻きの悪魔が。

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