ニンゲンがウチにおりまして・714
ウチにはニンゲンが居るです。
半分ニンゲンを辞めているニンゲンが。
「今日は良く集まってくれました。第13回悪魔会議の開催です」
すっと手を上げるごんちゃん。
「毎度言ってますが、某悪魔ではありません」
クモちゃんも「ボクも」とプラカードです。
「まさか、こんな反意を翻されるとは……」
「ミミ殿、そもそもこの会議に同意ちてませんので反意ではなく本意です」
クモちゃん、プラカード下げてください。
「ミミ君は人望……悪魔望ないですねぇ。ようかんのお替わりあります?」
あとで羊さんしばくです。
うぱちゃん、案内しなくていいです。
「そんなことより、問題はニンゲンです!」
「私?」
ニンゲンはとりあえずようかん食べるです。
「ニンゲンが最近、ニンゲンを辞めてます!」
「ほほう。うぱありがとー」
机にヒヅメを打つと、一斉にみんながこっちを向きました。
「この前ニンゲンと散歩中のことです……ここでほわんほわんって音が欲しいです」
「誰に言ってるのよ」
「ニンゲンはスマホをいじりながら歩いてました。すると!目の前に低級な怨霊が生えてきているではありませんか!」
「最近増えまちたねぇ」
ごんちゃんがお茶をすすりながら頷いています。
「しかし、ニンゲンは気付くことなく進んで行き、その怨霊をプチっと踏みつぶしてしまったのです!」
「え?ウソ。あとで靴裏掃除しないと」
ニンゲンは楊枝でようかんを食べてます、そこじゃないです!
「ニンゲン殿、掃除前に痕跡調べても?懸賞がかかっているかもですので」
「いいけど……そっちの褒美貰っても使えなくない?」
「ごんちゃん!踏みつぶしたこと、疑問に思ってください!」
目の前で「おのれー」とか言って消えてったんですよ!
「何を憤ってますか、ミミ殿。悪ちき者は消え失せる宿命。ニンゲン殿は浄化の手伝いをちたのです」
儀式すっ飛ばしてスマホ見ながら潰れてったの、宿命なの可哀そうすぎるです。
「ニンゲンさん、聞こえてきたので靴、改めてきました。こっちで指名手配されてましたね。今度専務に掛け合います」
羊さんが頭を撫でようとするのを手で叩いてます。
「……ニンゲン、ますます化け物で……」
ゆらりと。
空気が揺れました……。
目の前に白い天井があります。
……生きてます!ボク、生き残ったです……!
「悪魔ー、言わなきゃいけないことはー?」
「スマンです」
ニンゲンの笑顔がトラウマになりそうですー……。




