悪魔がウチにおりまして・702
ウチにはイモ虫が居る。
仁王立ちしているイモ虫が。
……なんでイモ虫が仁王立ちできるのだろう。
「ニンゲンさん、みーの言いたいことは分かりますね」
分かるわけがあるとお思いですか?
「あれ、イモ虫ちゃんー。どうしました?久しぶりですねー」
悪魔がイカゲソをはむはむしながら歩いてくる。
「そう!それ!」
悪魔にビシリと指を指す。
もうイモ虫が出来ない挙動に突っ込むのはしませんよ?
「ほへ?」
「みーはただいまあんぐりってるのは、そこなのです!」
新しい造語を作るな、そしてどこだ?
「みーの!出番!いず!うぇあ!」
今出てるじゃない、なんなら居座っているじゃない。
「このぷりちーなみーがこれだけ長い間登場しないなんて世紀末の摩天楼です!」
ねぇ、誰かこのイモ虫の荒れたテンションを凪にして。
「イモ蟲ちゃん、いいですか」
「その虫きらーい、かわいくなーい」
悪魔が殺虫剤を角から取り出した。
情報が渋滞してる。そして、角に戻せ。
「いいですか、ミミちゃん!その虫を使ってしまうと大いなる災いが起きちゃうの!みーが散り散りになっても構わないわけ?」
「構わんです」
イモ虫、目が真ん丸に。
「え?マジ?マジで言ってる?ねぇ、みーのこと嫌い?ねぇ、悪いところあるなら言ってよ、全部直すからぁ!」
今1番悪いところはキャラが安定していないところかな?
「とりあえずイモ虫ちゃんは、最近みんなとお話しできずに寂しかったですね?」
「いぐ!ざく!どむ!」
ダメだ、このイモ虫焼却しましょう。
「ニンゲン、そのガスバーナーしまうです」
大丈夫よー、あぶるだけ、あぶるだけだから。
「ヤる気満々の目で言っても信ぴょう性!?」
冗談ダヨー、臭くなっちゃうしー。
「それではみーは帰ります。役目は果たしましたし」
ウチの安息をぐしゃぐしゃに引っ掻き回すのが!?
「ではでは、また乱世の渦で会いましょー」
2度と来るなよー。
「ふぅ、イモ虫ちゃんも心配性ですねぇ」
……心配性?
「あれ、ニンゲン。気付いてませんでした?さっき邪霊がうようよしてて、イモ虫ちゃんが回収してたんですよ?」
……はぁ!?
「イモ虫が、他人の役に……!?」
「驚くのそっちなんです!?」
ウチには悪魔が居る。
「ちなみに邪霊はバターで炒めると美味しいです」
食べるの!?




