悪魔がウチにおりまして・700
ウチには悪魔が居る。
神妙な顔で正座している悪魔が。
「ニンゲン、何とは言いませんが700です」
ええ、何かはわからないけど700ね。
「このなんとなくキリのいい数字の時はお祝いすることが習わしだと思うのです」
それで、ケーキがあるの?
「7という数字は昔から幸福の数字と言われています、良いですね」
……悪魔に幸福を語りますか。
「話は変わりますが、日本には七福神という幸福の神のグループがあるそうですね」
グループ……グループになるのか?
「ボクはそのグループの遠い親戚だった気がします」
不謹慎な気のせいはやめなさい、怒られるから。
「ミミさん、話長いですねぇ。イチゴ貰っていいですか?」
許可を取る前に牛が悪魔のケーキに乗ったイチゴをフォークでかすめ取った。
「牛さん!ボクのイチゴ!」
「早く食べないとイチゴが悪くなってしまうので……あんまぁい」
これ見よがしに頬に手を当てて、イチゴを食べる牛。
いつからそんないい性格に……元々だったわ。
「記念すべきこの日に、争いをしないと決めてましたが……よろしい、ボクの宝刀・あぶらげが火を」
「某のです」
狐が悪魔のこめかみに鞘を打ち込む。
「狐院」
「……ニンゲン殿、文字数合ってないです」
ごめん、たまにはネタに走りたくなる時ってあるじゃない?
「ごんちゃん、キレイに急所入れるの、本当にやめてください……」
珍しくダメージが入ったのか、悪魔はテーブルの下から手を伸ばしてぴくぴくしている。
「ヒト様の家の家宝を弄べば、報いを受けるのは当然です」
狐は刀をしまうと、茶碗に抹茶を振るった。
「ケーキよ?」
「ニンゲン殿、和洋折衷、甘いに苦いは正義です」
一理ある。抹茶ケーキとかあるもんね。
うぱは手でバッテンを作ってますが、気にしません。
クモはうぱをなだめて……いい相棒だな、無声コンビ。
「ニンゲンさん、早く食べましょう!」
目を光らせている羊と隣にいる神ちゃん。
「お祝いって聞いたから来たのにー」
ごめんねぇ、ウチの邪悪ゆるキャラが引っ張って。
「ほら、悪魔ー。どうせそんなに痛くないでしょー?」
「結構痛かったですよ?こめかみですよ?」
そうは言いつつ回復したように椅子に戻る悪魔。
「そうしたら、みんなお手手を合わせてー」
『いただきまーす』
今日も平和な日常が過ぎる。
メンバーがみんな日常じゃ……いや。
私にとってのいつものメンバー、日常だよね。




