悪魔がウチにおりまして・68
あー…。
頭が痛い。
「ニンゲン、今日は何して遊び…」
「ごめん、悪魔…今日は寝かせて…」
昨日雨に濡れたのがマズかった。
完璧に風邪を引いてしまったようだ。
自分の声でも響くほどの頭の痛み。
今日はゆっくりと休ませてもらおう…。
ニンゲンが寝込んでしまいました。
無敵のニンゲンを打ち倒すなんてよほどのことでしょう。
コレはまずいのです。
ごんちゃん、クモさんと一緒に歯医者に向かいました。
ボクが診られるわけではないので大丈夫、大丈夫…ですよね?
「風邪?ここでは診察できないよ?」
…使えない歯医者です。
「ごんちゃん、どうしましょう」
「ニンゲンはよく風邪を引くと聞きます。温かくちて栄養のあるものを食べたらすぐに治るとも」
「えいよう」
ニンゲンにとって栄養のあるものとはなんでしょう?
「クモさん、何かわかりますか?」
クモさんも頭を抱えています。
スーパーに行ければいいのですが、ニンゲンに化けられるのはボクだけですし。
うむむ。
結局ごんちゃんの地元に行くことにしました。
商店街があったのでそこならニンゲンも食べられるものもあるでしょう。
お金はごんちゃんが出してくれるそうです。
お賽銭が好調のようで。
商店街…というよりも露店が多いのが特徴ですね。
皆さん旅の途中で商売をして、また別の街に旅立っていく。
こういった街並みはボクのふるさとにはないのです。
和風というやつですかね。
クモさんは道行く人たちに拝まれています。
今回路銀を貰っています。
普段はもらわないのに、ニンゲンのためにと。
夜。
1人で寝ていたら静かにみんなが帰ってきた。
いい匂い…。
「ニンゲン、早く元気になるのです」
3匹の同居者がキッチンで何かしている。
がしゃがしゃしているけど、音を立てないように、なるべく静かに。
…。
ウチには同居者がいる。
たまに寝込むのも悪くないかもね。




