悪魔がウチにおりまして・697
ウチには悪魔が居る。
鍋を持って練り歩いて来た悪魔が。
「おでんでんででん」
「季節」
それにそれ前もやったでしょう。
「……うどんどんどどん」
悪魔ー、知ってるー?中身って変わらないんだけどー?
「おどんでもうでんでもどっちでも良いけど、食べ物続き過ぎじゃない?」
「ニンゲン、混ざってます」
……くぅ、本当に間違えたの悔しい。
「大丈夫です、すぐ食べます」
悪魔は蓋を開け、うどんをすすり始めた。
反応を読まれていた、だと!?
「ごちそうさまでした。さてニンゲン、昨今の魔日外交事情ですが」
いらん、いらん。そんな責任の重そうな外交話、日本だけの肩に乗せないで。
「外交官の努力により、貿易摩擦は軽減。良い傾向ですね」
止めよ?そーゆー頭の痛くなりそうな……外交官?
「悪魔、もしかして人間サイドも悪魔と交流している役所あるの?」
「もちろんじゃないですか。ボクたちのモットーは『清く正しく堕落しよう』なので日夜ニンゲンたちを貶めるための協議を重ねているのです」
ぜひお止めになって頂けませんか、ガチで。
「つまり私たち側にも魂を売った裏切者が居ると?」
「それは違いますっ」
羊がクローゼットをバタンと開けた。
悪魔がバタンとクローゼットを締めた。
バキンという音。
『あー!角が、角がー!』
「……弁償させられない?」
「不法侵入側がギルティです」
などと居候が申しております。
「ミミ君!私の角を折るなどと!」
「羊さん、言いたいことさっさと話すですー」
羊ー、殴っていいよー。
「ニンゲンさん、魂など買い取ってません。相場が下落してます」
そこは聞いてない。
「ここだけの話、世の中の悪いことって私たちが手を出してないんですよね。むしろニンゲンどもが勝手に暴れてるだけで」
……はぁ?
「羊さん、しー!ニンゲン、何も聞いてないのですー!」
はいはい、聞いてないことにしてげるよー。
「と、言うわけで今日も日魔同盟は平気なのですー!」
さっきと言ってること変わってるからね。
ウチには悪魔が居る。
「そば?」
「山菜が好きなのです」
……もうツッコむ体力は残ってないよ。




