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悪魔がウチにおりまして・692

ウチには牛が居る。

人をダメにするクッションに埋まっている牛が。


「はぁ……休みとは良いものですねぇ」

ポップコーン、コーラ。そしてPCを置いて動画を見ていてしっかりダメな休日をなさってる。

何がダメかってそれを他人の家でやっていることかな?

「ニンゲン殿、そう邪見にするものではありません。困ったときはお互い様、困らずともお互い様です」

狐は徳の高いことを言いながらお盆に何かを乗せて牛に向かう。

「何持ってくの?」

「お茶漬けです」

アンタも厄介に思ってるじゃないの。

「牛殿、ぶぶ漬けです」

「これはこれは。いいお茶漬けじゃないですかー」

牛、まったく動じずはふはふし始める。

「牛殿、それなりに長生きをなさっているのなら、ここでピンと気付いて席を立つというもの」

「私、西洋文化に慣れているので。察しろって文化は傲慢だと思うんですよね」

くぅ!牛が正しい!

「なら、お帰りいただいてご自宅で鑑賞ちてもろて」

確かに察しろはいけないと言ったけど、そんな火の玉ストレートするの!?

「ふははははー、私を帰したければ、わさび醤油を持ってくるがいいー」

その言葉を聞いて、即動いたのはなんとクモ。

冷蔵庫を開けると、言われた通りわさびと醤油を持ってくる。

「こういう時、ミミさんかと思ってました」

少しばかり耳を垂らした牛にクモは「おとおおきい」と書いたボードを見せる。

どうやらロフトの上でコモンずが昼寝をしていたらしい。

「それは確かに。責任を持ってみんなで見ましょう」

牛の言葉にクモ、コケる。

「はい、子クモちゃんたちー。何見たいですー?」

お昼寝していたコモンず、元気いっぱいに飛び降りてくる!

一種の恐怖映像だ!

PCに群がるコモンず、ちゃっかりポップコーンの袋に頭を突っ込んでる子がいる。

「みんなバラバラな意見ですねぇ。クモさんは何見たいですー?」

ここで牛はコケていたクモに尋ねる。

年長者優先なのかしら?

クモはキーボードを操作して『キングビーVSタランチュラ』を……そんな映画あったの!?

「おぉ、これは名作ですねぇ。ニンゲンさん、ごんさん。一緒にどうです?」

『……結構です』

思わず狐とハモるのでした。


ウチでは映画鑑賞会が開かれる。

コモンず、大興奮でスタンディングオベーションですよ。

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