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悪魔がウチにおりまして・684

ウチには狐が居る。

ゴマをごりごりしている狐が。


「ゴマというのはすり下ろちた方が吸収が良いそうです」

そんな説明をしながらすりこぎを動かしている。

「ゴマ豆腐を作りたいと思っていまちて」

聞いてないんだよなぁ。

「ところでニンゲン殿。あの悪魔ズにいろいろ手厳ちいことを言われたそうですね」

狐の言葉に思わず口をつぐんでしまう。

「気にすることはありません。ミミちゃんも悪魔族、ニンゲンを不安にさせる癖みたいなのがあるのです」

すり下ろしたゴマをハケで掻き出し、新しいゴマを注ぐ。

「そうは言っても、誘拐されてるからねぇ」

なんか宇宙に居たのは信じられないけれど。

「その誘拐も、ニンゲン殿を狙ったのかどうか定かではございません。今、調査中です」

……調査してくれてるとは思わなかった。

「なんか、手間かけさせてごめんね」

「いえいえ、仕事ちごとですので。そういう意味でミミちゃんも今大忙ちですよ」

「悪魔が?」

忙しくなりたくないから私に文句言ったのでは?

「ほら、悪魔たるものが攫われたって割と赤っ恥ですので」

わかるー、力ある悪魔がおいそれ連れ去られたわけだもんねー。

「ちなみにイモ虫殿もブチ切れてます」

あのイモ虫、キレることあるんだ。

「そんな大事だったわけ?」

狐は耳をぺたんと垂らす。

「ニンゲン殿、一個人が宇宙に連れ去られ未遂が一般的なわけないでしょう」

……悪魔といると地獄とか天国とか足運んでいたからさ。

「かく言うそれがちも警護命令が出てます」

ゴマを擦ってるのに!?

「ニンゲン殿と一緒にいるなら何をちていても問題ありません」

それはそうだけど。

「代わりに擦ろうか?」

「ゴマすりせずともよろちい」

私知ってる!コレ、ダブルミーニングってヤツだ!

「そうは言っても、迷惑かけてるし?」

「迷惑というか、それもこちらの仕事ですので。気にちてはいけません。ただ……」

いきなり言い澱む狐。

「ただ、このぱさちゃんが現れたことで世界が大きく変わるのかもちれません」

白毛玉が?狐が声をかけるとゆっくり近づいて来た。

「正直、この子たちはなんだかわかりません」

「この前から思ってたけど、たちって?1匹じゃない」

匹として数えて良いのかわからないけど。

「お気付きでない?」

狐が指でつんっとつつくと、毛玉は2センチほどに飛び散った。


ウチには毛玉が大量に……あ、集まった。

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