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悪魔がウチにおりまして・681

ウチには悪魔が居る。

てるてる坊主を吊るしている悪魔が。


「悪魔がオカルトに頼るのってどうなの?」

「ニンゲン!口より先に手を動かすですー!」

なんか叱られた。手伝ってあげているというのに。

「てるてる坊主というのはその昔、本当にヒトを吊るしていたそうですね、諸説あり」

イモ虫、楽しそうに言うんじゃない。

「ちなみにタルタルソースはその吊るしたヒトを絞ったエキスを元にしたらしいですね、諸説あり」

諸説付ければウソ吐いていいわけじゃ無いぞー。

「イモ虫ちゃんも、手伝うならしゃんとやるですー!てるてるは遊びじゃないのですよ!」

イモ虫も叱られた。陣を組んで呪い始めるんじゃないよ。

「バレないように組めば問題ありません、バレているんだとしたら見たニンゲンも呪えば良いのです」

ちらりとこちらを見るんじゃない。

「悪魔、このイモ虫から揚げにしたら食べる?」

「のっと!ふりったー!」

大きく手でバツを作るイモ虫。相変わらずなんで手が見えるんだろうなぁ。

「ふたりとも!遊んでばかりじゃないですか!ぱさちゃんも手伝ってくれているのに!」

「連れてくー」

それは手伝ってるんじゃなくて、吊るされてるだけなのよ。

「これだけ大きいてるてるしたら台風も逸らしてくれるでしょう」

「逸れませんよ」

ぜんざいを食べていた羊が口を開く。

「ふぁいふーを起こす仕事をふぃている者の邪魔をしてはいけまふぇん」

食べながら喋らないでよ、行儀悪い。

「羊さん、台風を起こす仕事って?」

「連ーれーてーくー」

ケサパサ降ろすなら引っ張らないの、伸びちゃってるじゃない。

「ミミ君、取引先のお得意様の親戚のいとこなんですからちゃんと知っておかないと」

それ、仕事上必要な知識かなぁ。

「もしかして、よく雷おこし持ってきてくれたフーさんですか?」

職場、来てたー!

「そうですよ。この国を管理してる株式会社地震雷火事親父の役員ですよ」

ツッコみません、今回は。

「そんなに偉かったんですねー、今年はなかなか来てくれなかったので忘れてました」

「なんか、施工計画がガバガバだったみたいで。納期が短すぎるってメールで愚痴ってました」

「その計画書盗んでズラせません?」

悪魔、往生際が悪い。


ウチには悪魔が居る。

「なんで台風逸れて欲しいの?」

「新刊の発売日があるのですー」

理由はいつもの悪魔でした。

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