悪魔がウチにおりまして・680
ウチには狐が居る。
お茶をしゃかしゃかしている狐が。
「ニンゲン殿」
狐が立てたお抹茶をスッと渡してくれる。
「なんで抹茶?」
頼んで無いお茶を渡された私の気持ちを140文字でツイートせよ。
「最近思うのです。この家に居るモノ、増えすぎじゃねって」
お抹茶、いただきます。
「狐ちゃん、気付きましたか」
「前々から思っておりまちた。言い出すタイミングが……」
そうよねぇ。ところで狐、どこに座ってるの?
「コレですか?ふわふわの座布団です」
「連れてくー」
「あとで白玉粉を上げましょう」
「連れてくっ」
……買収は済みました?
「さっきから飛んでるタネも危なくて。この前おでこに突撃されまちた」
うぱー、コントロールちゃんとしてー。
「どうやらこのタネは自動制御らちく」
要するに無法地帯というわけですね。
「これ以上、この家に住まうモノが増えるのはよろちくないと思うのです」
だむっと座布団を叩く。
「みきゅっ」
「あぁ、申ち訳ない。あとで黒蜜も付けますので」
「連れてくー」
……仕方ないなぁって聞こえてきた私はもう戻れないかも知れない。
「これ以上増やさないためにどうすればよろちいでしょうか」
「諦めるのが1番じゃない?」
「そこをなんとか」
なんとか出来てたらまず緑の毛玉と同居してないのだわ。
「ほら、住めば都って言うでしょう?狐ちゃん、この子たちからも家賃取れば?」
狐、毛を逆立てる。
「このように可愛らちいモノたちから家賃だなんて……人情は無いのですか!」
ほだされてるー、この狐もダメになってるー。
「連れてくー」
「大丈夫です、キミからサトウキビなど取りません!」
そんな思い入れあるならまず腰をどかそうか。
「……連れてくる毛玉に言うしかないんじゃない?」
「ニンゲーン!スライム飼ってもいいですかー!」
狐、下に敷いていたケサパサを掴み悪魔に向かって投げつけた。
「ミミちゃん!ニンゲン殿の前にボク!ここの大家、ボクー!」
狐がキレた!このテンションは初めてだ!
「ご、ごんちゃん……ぱさちゃんが泣いてます!」
「泣かせたのは!ミミちゃんでしょ!!」
あー、たまにはケンカしときー。
ウチには色々いる。
「連れてくー」
慰めてくれてありがと。




