表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
690/1164

悪魔がウチにおりまして・679

ウチには牛が居る。

鉄板で肉を焼いている牛が。


「ヒトのウチで焼くお肉はなぜこんなに美味しいのでしょう」

帰れっ!人の家に脂臭さをまき散らしていくんじゃないよ!

「牛さーん!しかもいいお肉です!共食いはいけないのですー!」

「はふ……ミミさん、ボクは今辰田です。共食いと言えるのは竜田揚げだけなので無問題です」

ご飯に焼けた肉乗せてタレをしみしみさせるんじゃない!

「皆さんも食べます?このお肉、執行者さんからお中元で届きまして」

ウチの姉とどんな付き合い方してんだ!

「ウチには無いんだけど?」

「手紙読みます?」

牛はカルビをはむりながら封筒を差し出す。開いてるんですが?

「なになに……『メノー、お久ー。みんな忘れてないー?今オーストラリアに居るから牛肉送るねー。本当はカンガルー送りたかったんだけど検閲が厳しいみたいでー。近くに寄ったら顔出すわねー』……気のせいかしら?これってウチに届いたお肉じゃない?」

「どき」

肩をすくめながら肉を口に運ぶな!

「牛さん!?窃盗ですか!置き便強盗なのですかー!」

食べ物の怨みは恐ろしいのか、悪魔はどこからかガトリングガンを……やめなさい!

「とりあえず牛、正座」

「骨格上無理ありません?」

「2足歩行の異形が出来る言い訳じゃありません」

牛はしぶしぶ正座を……お茶碗、置け!

「いいですか、裁判官は私、検察は私、弁護士も私です」

「その裁判、終わってません?」

黙らっしゃい、前提として人の物盗ってるのよ。

「誤解ですよぅ。ここに届いた肉は冷蔵庫ですよぅ」

可愛くないから。そそくさと悪魔はキッチンに向かう。

「ニンゲン!ちゃんと肉は無事です!カルビ、タン、テール。よりどりみどりです!」

報告ご苦労、衛生兵。

ならばこそ、分からないことがある。

「なぜ、ウチで焼いてるのよ」

本当に匂い付けに来ただけならアンタも焼くわよ。

「執行者さん、おバカなんですかね。私の家に8キロ肉を送りやがったんです」

……うん、多いな?

「食べられると思います?なんなら私の家の冷蔵庫そんな大きくないんですよ」

「牛さん!つまりボクはタダ肉を食べられるということで合ってますか!」

キッチンから戻った悪魔はナイフとフォークを構えている。

はしたないからやめなさい。そしてクモ、マネするんじゃありません。

「良いですよー、腐っちゃいますしー」

……裏、ありそうに思うのは私の性格が悪いのかしら?


ウチでは焼き肉が始まる。

……明日は胃もたれとの戦いになりそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ