悪魔がウチにおりまして・675
ウチには……なんかいる。
これ、なんて表現したらいいの?
仕事から帰ってきたらリビングになんかいるのよ。
ひと言で表現するなら白い毛玉。
それが床に落ちてたり机に付いてたりしただけなら気にしないんだけど。
デカいのよ、明らかに30センチはある、毛玉。
そんなものがゴロンと転がってたら気にしないでいることは無理でしょう。
「悪魔、コレ持ってきたのあんた?」
「……ボクもニンゲンに聞きたかったです。ごんちゃんも羊さんも、牛さん、クモちゃんうぱちゃんに聞いたんですけど知らないって」
世にも奇妙な毛玉が確定した。
「全員じゃない」
「そうなのです。別にクッションと思えば良いんでしょうけど、見てください」
悪魔はキッチンから割り箸を持ってきて毛玉を突く。
ゆさゆさ揺れる毛玉。
「連れてく……連れてく……」
喋った!?
「ね?これ危ない気がしません?」
「捨てましょう、即!」
こんなわけのわからないモノを置いておく訳にいきません!
「ニンゲンもそう思います?だけど、ひとつ問題が」
悪魔が珍しく神妙な顔になる。
「誰が捨てに行きます?」
「…………」
「ニンゲン、なんか喋れです」
「なんか」
痛い!?悪魔からまさかヒヅメが飛んできた。
「ニンゲン!ボケるなら時と場合を選ぶです!ニンゲンが帰ってくるまで、アレと一緒にいたボクらの気持ち考えてください!」
普段のアンタにそっくり返す!でも、ゴメン!
「掃除機で吸えない?」
「デケぇです」
「ホウキで掃く?」
「怖ぇです」
形だけの丁寧さも消えるくらい怖かったのか。
「連れてく?」
やかましい!毛玉は話すな!
「……ニンゲン、アレ、目が生えてません?」
「目って生えるわけが」
……あー目が合ってしまったー。
「悪魔、アレは無い、いいね」
「さすがに無理がありません?」
無理は知ってるよ!なんかジッと見てるし!
「とりあえず、放置。知ってる人見つけるまで放置」
ふたりで頷き合いながら、お約束を取り決めるのでした。
ウチにはなんかある。
「ニンゲン殿、あの正体がわかりまちた」
でかした狐!
……まさか、続くの!?




