悪魔がウチにおりまして・672
今……あなたの頭に直接語り掛けています……。
なんか妙にエコーがかかった牛の声が聞こえてくる。
目を開くと真っ暗な空間。
ねぇ、牛牛。
気軽に……話しかけると……雰囲気と言いますか……。
その話し方、どうにかならない?面倒でしょ?
「お気遣いありがとうございます」
急に戻すなし。
「さてお気付きの通りニンゲンさんは寝てます、ここは夢の中」
業務連絡ありがと。
「この夢から抜け出すためには戦わないといけません」
か弱い私に戦えと?
「寝言は寝て……そうでした、寝てたんですね」
ケンカか?買うわよ。
「そのケンカするためにまずは戦わないと」
よおし、牛をしばく為に頑張るわよー。
「この世界から抜け出すために武器を用意しました。剣、まさかり、そして羊さん」
「おかしくありませんかっ!」
武器にされた羊(なんか小さい)はキーキー鳴いている。
コレも、武器扱い?
「まぁ、夢の世界なのでどんな処理もちょちょいのちょい」
「牛さん!基本的悪魔権って知ってますか!」
「どうせ夢なんで。ちなみに羊さんは毛をちぎって投げると爆発します」
とんでもない加工をされている。
本体を投げるとどうなるの?
「ニンゲンさん!?鬼畜過ぎません!?」
うるさいわね、手りゅう弾。
「リロードが出来なくなるのでおススメしません、威力は高いです」
最終手段として覚えておくね。
「起きたら!償わせます!」
大丈夫、私、夢覚えてないこと多いから。
「忘れたからと言って!罪が消えるわけではありません!」
「それでは武器を選んだところで、この夢のシステムを。セーブポイントは宙に浮いているクリスタルで行なえます」
ゲームみたい。
「武器選んでるタイミングに出てくる感想でしょ、それ。で、そのセーブポイントはここだけなので気を付けてください」
クソゲー過ぎない?
「私!ここから動きたくない!」
羊はクリスタルにくっついて離れない。
「遠隔爆破します?」
「そこまで私を焼き肉にしたいので!?」
ほら、羊。さっさと抜け出さないとモスクワになるわよ?
「解説が必要なボケはご遠慮いただいて!」
良いじゃない、ディスコヒッツ。
さぁ、私たちの冒険はここからだ!
滞りなく私は目を覚ます。
「ニンゲン、寝言あんなはっきり話すの、怖いです」
……私自身も怖いです。




