悪魔がウチにおりまして・671
ウチには悪魔がいる。
急に思想がつよつよになった悪魔が。
「神はー言っていますー」
クモ、近寄ってはいけません、危ない悪魔がなんか言ってます。
「豆腐のハンバーグは簡単では無かったとー」
よし、通常営業だったから近寄ってよし。
「そうは言っても結構簡単に……」
「人の仔!いや、我が敵!この神にウソを吐くとはいい度胸ね!」
出た、メシマズ神嫁。
「神ちゃん、豆腐バーグ作れなかったの?」
「そうなのよー!なんで、なんでー!」
敵と称した相手の胸で泣く神さまってシュールねー。
「ニンゲン!神ちゃんをいじめてはいけません!神ちゃんの料理が上手くならないと羊さんが……まぁ、いっか」
その心配、あと3秒保とうねー。
「そうは言っても、どんな風に作ってるのか見ないと」
「先生……いや、師匠!」
神の弟子など要らん。
というわけでキッチンに移動、神ちゃんクッキングです。
「ここに取り出しました、豆腐。まず油で揚げます」
さようなら、ハンバーグ。いらっしゃいませ、厚揚げ。
「油を切ってひと口大に切ります」
面白そうだからこのまま見ておきます。
「鍋にお水とカレー粉を加えて煮込みます」
豆腐さん、ナマステー。
「あとは豆腐が柔らかくなるまで煮込みます」
どうしよう、わざとやってないだろうか?
「人の仔、ハンバーグできない!」
「でしょうね」
いい香りが漂ってきてるなー。
「この豆腐バーグ、どうする?晩御飯にする?」
「ミミちゃん、人の仔がいじめるー!」
「ニンゲン!途中でなぜ止めないですか!」
悪魔に泣きついた神ちゃんの頭をよしよししている悪魔。
慰めるならスプーンを離しなさい。
「ところでニンゲン、その豆腐バーグに玉ねぎとニンジンは入れないのですか?」
入れちゃう?その追い打ちも煮込む?
さっきからちらちらとうぱが嬉しそうにしてるのも芸術点が高い。
「ニンゲン、コメは研ぎますか?」
神ちゃん、気付けー、怒れー?
「やや?いい匂いがしますね。今夜はカレーですか?」
「豆腐のハンバーグ」
神ちゃんの声、低っ!
「いやぁ、豆腐のハンバーグ、食べたかったんですよー」
羊、慣れたもので目の前で煮込まれている料理を躊躇なく豆腐バーグと認めた!?
今日の晩ご飯は豆腐のハンバーグである。
「……なんでカレーが甘いんです……?」
悪魔、私も聞きたい。




