悪魔がウチにおりまして・669
どうも、こんばんは。
今日の語り部は私が進めていきましょう。
と、言いますのもこの家の居候であるニンゲンさんがミミさんとバトルした結果、ミミさんを撃ち滅ぼしてしまったのが原因でした。
そのことで世界の均衡が崩れ、次元は歪み、なんと世界ごと混沌の狭間に飛ばされることと相成りました。
今、私は飴細工の職人に弟子入りし、砕けてしまった世界を創り直すべく奮闘を……。
「とーっう!!」
冒頭から続く、余りの妄言に耐えきれなくなったのか、ドロップキックを牛に決めた。
「ミミさん、何するんですかー」
「牛さん!設定がガバガバすぎます!ボクはニンゲンに負けません!」
そこじゃない、居候がアンタという最重要事項からツッコミなさい。
「何を言ってるんですか。創作するときの基本はいい感じに話を盛ることと羊さんが言ってました」
一応商業作家なんだよな、あのモコモコ。
「牛さん、小説を書くのですか?」
悪魔のしっぽが揺れている。
そういえばこの子本読むの好きだったな。
「書くわけないじゃないですかー、私の手を見てくださいよ」
牛は手を差し出す。そこには立派なヒヅメが並んでいる。
「この手でキーボード打てます?」
「……無理だよね」
あれ?でも羊とかは?
悪魔もなんならブログ書いてなかった?
「ボクたちはキーボード打つときに手だけ変えてるんですよー」
手間がすごいな?
「本当はキーボードを開発しようと思ったんですけど、さすがに、ねぇ?」
ものすごく大きいキーボードになりそうだもんね。
「なので私は手書きメインですね」
牛がタブレットを噛み砕きながら補足を入れる。
もしかしてあっちの世界でITが進まないのってそういう理由なんじゃないの?
「違います。別にヒト型悪魔が居ないわけではありません。専務とか、歯医」
「牛さん?今夜のおかずは中落ちカルビにしますか?」
悪魔が牛のお腹にパンチを連打しながら詰めている。
「歯医者ー、歯医者ー」
牛、効いておらず。なんなら悪魔に対して歯医者コールをして魔除けしている。
「う!牛さん!ここで会ったが1,000年目!今こそ息の根を止めてくれるですー!」
「だからミミさんはアホなのですー」
妙なポーズで構え合う2匹。
物は壊さないでねー。
悪魔VS牛。
始まった瞬間にクモが糸で捕獲していた。
ナイス!クモ!




