悪魔がウチにおりまして・662
ウチには悪魔が……。
「ニンゲン!ドラゴン狩りに行くです!」
なんだって???
ドラゴン……とりあえず伝説の生物。
それを狩りって言いやがりました、このゆるキャラは。
「狩りって言って、ドラゴン鑑賞ってオチと見た!」
むしろそうしてください、何ならオペラグラスが必要な距離くらいで!
しかし悪魔は首を傾げる。
「ボクが狩りと言って見るだけってありました?」
なんだったら動くもみじと戦ったよ、コノヤロー!
「というわけで、ニンゲン。ドラゴンと戦うのに何使います?」
ねぇ、私も行くの確定なんですか?
「私、一般人よ?」
「ニンゲンー、今さらそれ言って信じるヒトいると思います?」
悪魔ー!そのことについて話し合うことでお茶を濁しましょう!
「というわけで!草原です!」
悪魔!戻して!ウチに帰して!
「今日この日……東南の風は吹くのです……」
モグ!軍師のマネをしてるくらいなら帰して!
「ぽんちゃーん!ちゃんとこっちは風下ですか?」
「です。さすがに竜を相手にするのにボケはいりません」
そんな警戒するなら!私を!帰せー!
「ニンゲン、ここまで来たら当たって砕けるしかないのです」
砕けたくないから抵抗してんのよ!
「ニンゲンさん……こうなったら断頭台の露と思って」
それ、消えちゃうやつじゃない!
「かーえーるー!」
「おぉ、ニンゲンが駄々捏ねてるです。レアです、レア」
ヒトを珍獣扱いするんじゃないわよ!
悪魔に教育的折檻をかましているとモグラがすっと立ち上がる。
「……来ます」
ドラゴン!?待ってよ、まだ遺書書いてない!
「どうやら、数が3……いや4」
そんなにいるの!?
「今日は大漁ですー!ニンゲン、晩御飯豪華ですよ!」
突撃ウチらが晩ご飯でしょ!この流れは!
「そこ!」
モグラが草むらを鎌で切り裂く。
そこにドラゴンが……ドラゴン?
「悪魔、このエリマキトカゲ、なに?」
「ドラゴンです」
はぁ!?この膝丈の草に隠れちゃうサイズのトカゲが!?
「ゴワァ!!!」
鳴き声だけ一丁前に叫ぶな!
今までの恐怖の反動から、1匹のトカゲを小突くとその場でぶっ倒れた。
「……弱くない?」
「だから晩御飯です」
ウチでは、悪魔がキッチンに立っている。
「ニンゲンー、塩とタレ、どっちが良いですかー?」
トカゲは、パリッとして美味しかった。




