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悪魔がウチにおりまして・659

ウチには悪魔がいる。

木魚を乱打している悪魔が。


この邪、定期的に起こられそうなことするのなんでなんだろう?

「悪魔、木魚って何のために叩くか知ってる?」

「当たり前です!ジャポネ・ソウル・ビートでしょう?」

違います。

これでリズム取るのは特定のタイミングだけです。

「アンタ、もしかして仏教徒?」

もし頷いたら色々戦争が起きてしまう気がするマズイ問いかけだった。

「違いますよー。クモちゃんから教わってます」

……クモはギリセーフかな、知らんけど。

そうは言っても今日クモはお出かけ。

置き手紙で「ぱふぇたべてくる」って書かれてた。

どこで食べる気だろう。

「この前隣で教わったですよー。幽霊を気持ちよくさせるビートだそうで」

語弊があるなぁ、成仏って気持ちいいのかしら。

「さっきから叩いてるけどリズムめちゃくちゃじゃないの」

そう、悪魔の木魚はただテキトーに叩いているだけ。

どれくらいテキトーかと言うと、雨粒の方がまだ定期的に窓に当たっていると思うくらい調子が外れている風に感じる。

「ニンゲンは芸術がわかりませんね。これは、無拍子というれっきとした……」

「誰ですか!さっきから気持ち悪いリズムで木魚を叩いているのは!」

羊がバタンと遠慮なくウチの扉を開ける。

「羊!せめてノック!」

「してましたとも!その木魚のせいで……ミミ君、なんで泣いてるんですか?」

悪魔が静かに、泣きながら等間隔で木魚を叩いている。

「気持ち悪いって……そんなにダイレクトに言わなくても……」

あー、羊のせいで泣いちゃったー。

「もしかして、ミミ君が叩いてました?」

私に耳打ちをしてくる羊。

そーそー、ご本人に直接言っちゃったのよ。

「ミミ君、努力は裏切りません!」

コイツ、追い打ちかけに行ったぞ!?

「羊さんなんてジンギスカンになっちゃえですー……」

ちーんとどこからか仏壇のアレを持ち出して叩く悪魔。

ジンギスカンにしても誰も食べないわよ?

「世界は広いです、ミミ君のリズムを受け入れてくれる場所もあります!」

羊、実は励ますの下手か!?

「羊さん、カーペットになっちゃえですー……」

悪魔の悪口、上手くなって来たな。


外からクモが帰ってくる。

パフェの写真を見せびらかすクモが。

今はこの飯テロに癒されましょ。

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