悪魔がウチにおりまして・64
ウチの前に賽銭箱がある。
なんで?
この前は地蔵、今回は賽銭箱。
とりあえず家に入りましょう。
「狐ちゃん、なんであんなもの置いたの?」
決めつけかも知れないけど、属性的にこの子でしょ。
「宿主殿、ご迷惑でちたか?」
何を言われているのかピンと来たようで、耳を垂らしながらもじもじとしている。
「迷惑と言うか。こんなアパートにおいても誰も入れてくれないよ?」
ウチの入り口に、こぢんまりとした賽銭箱など置いておいても信心もあったものではない。
「意外と人気なのですよー?」
タイヤにぶら下がっていた悪魔が…さすがにクモを叱りタイヤを撤去。
話を戻しましょう。
「人気って誰に」
「虫とかー、イタチとかー。タンク3号も来てましたね」
あの外来生物、また顔出してるの?
「小動物御用達なわけ?」
「そうなのです。ふろーしょとくというモノでちて」
えっへんと胸を反らす狐。
え?私、収入の仕組み、狐に負けたの?
「かか様に自分の食い扶持は自分でと仰せ遣いまちた。最初はひもじい思いをいたちたのですが、ようやく軌道に乗りまちて」
つまり、何ですか?
ウチを勝手に神社にしたと?
素直に感心しますけど?
「ごんちゃんはびじねすまんとしてすごいのですー」
「ミミ殿が言ってくれたことをそのまま行なっただけですよー」
見た目はほわほわ小動物なのに、言っていることが越後屋と悪代官なのは突っ込まないよ。
「ほう、ビジネスですか」
畳から頭を出す羊。
叩いて戻して一旦封をする。
「なんでー。ニンゲンいつの間にー」などと畳の裏から聞こえますが無視します。
あの怨霊の名残です。
「ニンゲン、ヤギさんの声が…」
「聞こえなかったよね?ねぇクモ?」
いきなり話を振られたクモは首を思いっきり縦に振っている。
いい子です。
真似してヘッドバッドしているうぱは知らない。
「…こ、これで某は修行に専念できますので!」
無かったことにした狐を撫でる。
そうだよね、この子も頑張っているんだよねー。
「開けてー、暗いの嫌だからー」
放置します。
ウチには賽銭箱がある。
たまに動物が列を作っている…アカン。




