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悪魔がウチにおりまして・658

ウチには悪魔がいる。

天井に張り着いている悪魔が。


ひと昔前の警備会社のCMよろしく、天井の壁に張り付いている。

「どうしたの?」

「ニンゲン、ボクは床に降りてはいけない呪いにかかってしまったのです」

そんなアホな呪いある?

「あるんですっ」

床から声が聞こえて視線を落とすとイモ虫が胸を張ってる。

「まさかと思うけどアンタが呪った?」

このイモ虫なら平気で呪いかねない。

「みーがそんなことするわけないじゃないですかぁ」

その信頼がないって気付いて?

「ただ、施策の呪いを込めたおにぎりを置いておいたら消えていただけでして」

やっぱりアンタのせいじゃないの。

「美味しかったです!」

味の感想は要らないのよ。

「そのおにぎり、どこに持っていこうとしていたわけ?」

「いたい!いたい!虫虐待です!」

「イモちゃん、誰も触ってないのに叫び声上げるなですー!」

悪魔はツッコミを入れたいんだろうけど、壁から離れられないのか唾を飛ばすにとどまっていた。

きちゃない。

「ほらー、見えるのは文字だけでしょ?みーがいじめられている様を読者の皆様にむぎゅう」

次元の壁を越える悪い虫には座布団の刑です。

「やめて!それ窒息するヤツ!なんなら潰れちゃう!可愛いしおりになっちゃう!」

潰れてぺったんこになったらちゃんと紙飛行機にしてあげるからね。

「しん!らつ!」

「とりあえず悪魔にかけた呪いを解いてよ。こんなのが天井に張り着いてたらクモが怯えるでしょ?」

まぁ、コモンずは楽しそうに悪魔の角にぶら下がってるんだけどね。

「解けねっす」

「悪魔、ガスバーナー」

「殺意高くない!?」

「あとニンゲン、ボク降りれないです」

ちっ、運の良いイモ虫め。

「なんで解けないのよー」

「だってみーが込めた呪い、逆なんですもの」

……どういうこと?

「みーが込めたの、むしろ地面にめり込む呪いなんですー。ミミちゃんがなんで空飛んでるのか、原因がわからないんでー」

「飛んで無いですー!ちゃんと張り付いてますー!」

だまらっしゃい、天邪鬼。

「……放っておいて平気?」

「まぁ、3日くらいで降りて来れるんじゃないですかね?」

「みー!!」


ウチには悪魔がいる。

クモに教わり、糸を垂らすことを覚えた悪魔が。

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