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悪魔がウチにおりまして・649

ウチにはスライムがいる。

床をべしゃべしゃにしているスライムが……おい!


家に帰ると床がドロドロとした粘液がまみれていた。

「悪魔ー!また変なの連れ込んで!」

確かめる気も起らず、玄関にあったスリッパを4つ掴むとリビングに進む。

「ニンゲン!スライムを持ち込むとは何事ですか!」

扉を開けると悪魔が目を怒らせて手を腰に。

「アンタじゃないの?」

「ニンゲンじゃないのですか?」

お互い目をぱちぱちする。

「座ろう」

「御意」

悪魔と濡れていないのを確かめて椅子に腰かける。

「悪魔がこのドロドロ持ち込んだんじゃ?」

「ボクがそんなことするように見えますか?」

「見える」

椅子から転げ落ちる悪魔。

「ニンゲンー、ボクたちの絆はどこに行ったのですかー」

「絶対悪さする信頼ならここに」

これまで、どんだけ阿呆を重ねてきたと思ってるのよ。

「あり得ません!ドロドロは触ると死ぬのです!」

どこの映画からその知識仕入れまして?

「とりあえず、犯人見つけてとっちめる方向でいい?」

「賛成」

悪魔的にも部屋を汚されたことに怒っているみたい。

「それでは調査を始めましょう、ワトソン君」

「アンタの助手になった覚えはない」

「見てください、ニンゲン!」

無視か、よろしい。ならば次の被害者はキミだ、ホームズ君。

「ここに足跡が!」

私がモリアってると、虫メガネで床を拡大している。

「スライムに足跡はありません。つまりこの犯人はスライムじゃありません!」

「そんな、バカなー!」

「……ニンゲン?なんか間抜けになってません?」

私、何も言ってないわよ?

「だ、誰なんですか!悪魔!この部屋を粘液まみれにした犯虫は!」

「お前だよ!」

私の声真似しているイモ虫にスリッパを叩きつける。

「イモ虫ちゃん!な、なぜこんなことを!」

「ふふふ、バレちまったなら仕方ねぇ」

「悪魔、ガスバーナー」

「やめて?それは本気で死ぬからやめて?」

イモ虫ぬるぬるの身体で床に這いつくばる。それをやめなさい。

「中性洗剤で良いです?」

「ミミちゃんまでトドメ刺しに来るのやめて?」

「イモ虫、なんでこんなことしたの」

「それはですねぇ」


ウチではイモ虫がパトカーに乗せられている……。

まさか、そんな理由があったなんて……。

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