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悪魔がウチにおりまして・648

ウチには悪魔がいる。

赤い衣装に身を包んだ悪魔が。


「ジングルベール、ジングルベール、鐘が鳴るー」

「鳴らん」

季節感考えろ?

「ニンゲン!なぜですか!今日は7月25日!ハーフクリスマスです!」

日付違うし、聞いたこと無いし、ハーフやるなら先月でしょう。

「ニンゲン、突っ込むならきちんと声に出してくれないと反応できないのですよ?ほら、いつもはちゃんとコミュニケーション取りますでしょ?」

新しいな、そんなダメ出し。

「ニンゲンは悪い子だからプレゼントあげないのです!」

ぷっと頬を膨らませる悪魔。

「今回、配る側なの?」

ちゃんと声に出したからなのか、悪魔は目を輝かせている。

「そうなのです!あの馬に乗り夜を駆けるのです!」

「うまー」

「悪魔くん、ストップです」

悪魔が指さしたウマ、どう見ても羊なんだけど。

「アンタ飛べるの?」

「飛べるわけないでしょう」

「前、マラソンで空飛んでました。ボク覚えてます」

……あったー!流れ星になった羊あったー!

「ミミ君、ちょっとこちらに」

羊は手招きをして悪魔を呼び寄せてなんか渡してる。

んー、アレはチョコ……いや、ココアパウダーだな。

「ニンゲン!この馬は空飛べません!」

「うまー」

袖の下で無かったことにした!

「で、ハーフクリスマス?どうすんの?」

「この馬に引かせます!」

「うまっ!?」

状況、何も変わらないのかい。

「ミミ君!なぜですか!外に置いてある山車、引くつもりなどありませんよ!」

積めないなぁ、プレゼント。

「ヤギさん!同じく山の字を冠しているというのに!」

「このタイミングだけヤギ呼びしないでください!」

(旧)ヤギの言い分はもっともである。

「ニンゲンはどちらの味方ですか!」

「羊」

「悩んで!」

悩むかい、こんなトンチキ問答!

「ほぉら、ミミ君。私の意見が正し……」

「ニンゲン、今日ぼんじり買ってきます」

「ヤギさん、山車くらい引いてあげなさい!」

「こんな時に敬語!?」


ウチでは焼き鳥パーティが開かれている。

「ニンゲンには出すと言いましたけど」

「私だけ食べるわけにもいかないでしょ」

悪魔は財布をひっくり返して泣いていた。

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