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悪魔がウチにおりまして・647

ウチには悪魔がいる。

いそいそと水槽を用意している悪魔が。


「悪魔よ、懺悔なさい。何を拾って来たのです、正直に言えばスリッパ3つで勘弁してやりましょう」

「ニンゲン、言ってることがよっぽど悪魔です」

なにをう!?

「この水槽でチンアナゴを飼うのです!にょろにょろーってかわいいのです」

絶対チンアナゴじゃない、なんかわかる。

悪魔は水槽に砂ではなく、ちゃんと土を入れてるし。

なんなら水槽の1/3土で埋めてるし。

「なんですか、ニンゲン!そのボクの言うことを信じないと強い意志を感じる目は!」

そこまで思ってないよ、どうせろくでもないことし始めてるってくらいで。

「そんなに言うなら!カモン、チン・アナ・ゴー!」

悪魔の掛け声でにょろりと3匹の……。

「ミミズだね」

なんならご丁寧にシュノーケル付けてるんですけど。

「左からミー↓ちゃん、ミー↑ちゃん、ズーちゃんです」

「ミミズだね」

悪魔、わざとやってない?

「この子たちすごいのです。この子たちが住んでいた土は作物を育てるのに適した豊かな土壌に変わるのです!」

「ミミズだからね」

「ちなみにぽんちゃんから預かりました」

「やっぱりミミズだね」

あのモグラ、なぜ1番預けてはいけない相手に預けた!?

「ところでなんで水責めしてるの?」

「この子たちが水に入りたいって言いまして」

珍しく良いことしてた!?

「あんまりこの国が暑いって、干からびるって文句言われまして」

ごめんね!悪魔の世界より暑くてごめんね!

ミミズが水槽の中で何か紙を……ねぇ、ずぶ濡れだから読めないよ。

「ズーちゃん、干しミミズは美味しくないって言ってます」

悪魔、気付いてる?チンアナゴって設定、忘れてるよ?

「ちなみにこのシュノーケルのほか、浮き輪も完備です!」

……悪魔、それイカリング。

「この浮き輪を付けると潜水して泳げるように!」

「浮けや」

思わず手が出てしまった。チョップだから暴力ではありません。

「ニンゲン!?チョップは下ろすものですよ!?刺すのは抜き手です、アサシンです!」

おっと指が目に。

「にぎゃー!?目が、目がー!」

「ミミズたち、いつまで居るのー?」

ざぱっと水槽から出てきてタブレットをいじる。「明日まで休暇楽しむ」って打ってるけど。

……預かったというか、小旅行かな?


ウチにはミミズがいる。

夜に宴会を始めたミミズが。

ビール飲むな、ミミズなのに。

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