悪魔がウチにおりまして・646
ウチには悪魔がいる。
「アカウント乗っ取られたです」
悪魔ー!?
「なんつー目にあってんのよ」
「なんでボク責められてるです?」
責めてないよ、呆れてるだけ。
「Twitterがなんかおかしいのですよー」
悪魔はスマホを見せてくる。
そこには「和久井ミミ」と書かれたアカウント。
直近のツイートを見ると「むにむに」「おさとうばんざい」「いちごちょこ、おいしい」とまったく害のないツイートが並んでいる。
「若干、アンタっぽいけど?」
「ボクはこんなあざとくないのです!」
ツッコミ、そこなの?
「ボクの不思議ちゃん風の雰囲気が台無しです!」
不思議ちゃんの方があざとくないっすか、悪魔さん。
「こうなったら犯人を見つけてとっちめるですー!」
「見つけてって。相手インターネットの先でしょ?」
「大丈夫です、専門家を呼びました!」
専門家?探偵?
「呼ばれました。この灰色の表皮が謎を求めてます」
イモ虫でした、表面を灰色に塗ってます。
「それ、周りに付かない?もしつくならシャワって来て?」
「みー、出オチ要因ではないんですけどねぇ」
そういう割に素直にお風呂に向かう。良い子。
「さて、このアカウント乗っ取りの情報を集めましょう」
ねぇ、探偵がシャワーしてるけどいいの?
「このツイートが投稿されるのはいつもボクがスマホをいじっていない時です」
ねぇ、気付いてたのに放置してたの?
「これは犯人がこの家に居ることを示しています」
じっとこっちを見る悪魔。私、疑われてます?
「コレ、やるほどあざとく見える?」
「あり得ませんね、もっとどす黒くなるでしょう」
久しぶりにスリッパの出番です。
「つまり、ウチによく来る方々を含めると……」
悪魔が指折り数える。なんか探偵さんの鼻歌が聞こえて来ますが?
「ねぇ、まさかと思うけど、クモじゃない?」
漢字使ってないし。
「クモちゃーん。スマホ弄りましたー?」
クモがロフトから顔を出すと手を振っている。
「違うらしいね」
「ということは、うぱちゃん?」
顔を出したうぱ、手をバンザイ。
「見つかったね」
「こんな簡単に見つかるものです?」
まさか悪魔が呆れてため息を吐くとは。
ウチには悪魔がいる。
「うぱちゃん、スマホはだめです。こっちでアカウントを作りましょう」
作るな、作るな。
あとイモ虫いつまでシャワー浴びてんだろう?




