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悪魔がウチにおりまして・640

ウチには悪魔が……。

これはやってるな?


「ニンゲンー」

「ダメです」

「なぜですか!まだ何も言っていないというのに!」

「何拾ってきたの、言いなさい」

悪魔が私を呼んだ猫撫で声で察してしまえる私が憎い。

おそらく、また何か拾ってきたのでしょう。

「仔犬をぉ預かってってぇ頼まれたですぅ」

むしろその言い方のせいで本気で嫌になりそうだけど?

「ダメよ。結局アンタ、クモの世話してないじゃない」

「クモちゃん、世話いります……?」

くぅ、言い返せない!

「で、もういるんでしょ。その犬見せなさい」

「飼って良いのですかぁ!?」

飼いません、てか預かるって言ってたでしょ。

悪魔に手を引かれてリビングに行くと、言われた通り仔犬が寝ていた。

言うても悪魔の世界の仔犬、すでにレトリーバーサイズなんだけど、問題はそこじゃない。

「おるちゃん、ニンゲンですよー」

『ばふっ』

鳴き声が二重になったのは聞き間違えではない。

2匹いるわけでもない。

頭がふたつありやがったのだ。

「け、ケルベロス?」

「それ、お兄ちゃんです。この子は弟です」

知らないよ、そんな頭たくさん兄弟なんて。

「お戻りいただいて」

「ニンゲン、丁寧になってるの面白いですー」

「ぶも?」「ばふ」

頭ふたつあるから個性違うんだ。

「誰よ、この子アンタに預けたの」

「ミノさんですー。なんか旅行に行くって言ってましたー」

ヤロウ、牛頭!

「アンタ、あのミノさんと仲良かったの?」

「この前会ったの初めてですよー?」

コイツの気安さが1番敵ですか。

「そうは言ってもこの子たち散歩もご飯もどうするの?」

「ご飯は同じものでいいみたいです。散歩はぽんちゃんの農場に放ちます」

要するにご飯のお世話だけ……って私の仕事になるじゃないの。

「食費は」

「領収書、取っておいてください。ミノさんが後から払ってくれます」

……しっかりしてるのか、事務的なのか。

『くーん……』

やめろ、潤んだ目4つを向けるんじゃない。

「まぁ、居てもいなくても同じか、寝る時アンタの部屋ね?」

「りょっ!ですっ!」


ウチには大型犬がいる。

……犬ってお辞儀するのね。

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