悪魔がウチにおりまして・636
ウチには悪魔がいる。
腹の虫を鳴らし続けている悪魔が。
ウチに帰ったら壁に向かって座り込んでいる悪魔。
話しかけるのもためらわれるオーラを、というか腹の虫を鳴らしている。
「どうしたの、アレ」
近くにいたイモ虫に話しかけると両手を広げる。
「みーが来たときにはすでに。ずっとああやってお腹鳴らしてるんですよ」
虫だけに!とか言ってるけど油に漬けていいかしら?
「悪魔、お腹減ってるなら食べな?」
うるさいし、とは言わない嗜みはございます。
「……いけません、ボクは、ボクにバツを与えねば」
ほう?
「ボクは、ボクが情けないのです。なぜわかっていることを繰り返すのでしょう」
ここまで悪魔が凹むこと……まさか。
「いくら課金したの?」
「5です」
正解、そして意外と早い撤退でした。
「今後しないなら良いんじゃない?それよりご飯食べなさい。食べ物を無駄にすることの方が罪深いでしょ」
「ニンゲン、いけないのです。ボクはボクが許せない」
「アンタの食べる量、処理できる子居ないの。なに?羊縛って食責めする?」
(やめろ、ください!)
脳内に直接羊の声がっ!
「羊さん、ラム肉冷凍庫に入ってるので食べてください」
的確に共食いさせるな。
「あー、ラム肉たべたーい!」
イモ虫が冷凍庫に突撃していく。
悪魔、投げ輪を使ってイモ虫を捕獲。何気にすごいことしてるなぁ。
「おみゃーにやる肉はねぇ!自ら狩ってこい!」
悪魔、キャラ戻しなさい。
「な、我が身を捕らえるだと……?解せぬ!このような恥辱、この儂が受けるなど……!」
イモ虫、ニヤニヤしながら言うのはやめなさい。
「そんな風に遊べるなら大丈夫ね。今日はカレーピラフだから」
キッチンに向かって米を研ぐ。
「野郎、オレの投げ輪を抜けやがった!いつの間にナイフなんぞ持ってやがった!」
「愚かな!敵を捕らえるなら身体検査をしない貴様が悪い!食らえ、我が究極呪文!アゲハ蝶!」
どったんばったんしてるけどもはや構ってられませぬ。
「ただいま戻りまちた。来来、狐火っ!ニンゲン殿、焦げ臭いかもちれませんがご容赦を」
狐さん、今焼いた2匹には容赦した?
ウチには黒焦げが2体いる。
「ニンゲン、カレーピラフお替わりですー」
こんがり焼けてても食欲は旺盛なことで。




