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悪魔がウチにおりまして・631

ウチには悪魔がいる。

真っ白になっている悪魔が。


足元に絵の具が落ちているので、どうやら自分で塗ったのだろう。

また構ってあげないといけないのか。

「どうしたのー、悪魔ー。そんな真っ白になってー」

「ニンゲンにお芝居の才能が無いことがわかりました」

スマホを取り出して「悪魔 食べ方 料理法」を検索。

へぇ、モヤシってこう炒めると美味しいのか。

「ニンゲン、なんかとんでもない検索してません?」

悪魔は顔をふきふき尋ねてくる。

結局色を落とすなら塗るな。

「で、ネタの古いショックの受け方をしている理由は?」

「聞いてください!ニンゲン!」

ぶわっと涙を流す悪魔。

ええい、絵の具が付く、シャワー浴びてから抱き着きなさい!

「ミミちゃん!みーと同じ純白に目覚めましたか!」

「ニンゲン、とっても不愉快なのでしゃわって来て良いです?」

「誹謗!中小企業!」

途中から伝えたいこと変わったイモ虫とふたりきりかぁ。

「で?ミミちゃんがなぜわざわざ白塗りをしてるんで?」

「それを聞く前にアンタ来たのよ」

タイミングが良いんだか悪いんだか。

「ふぅ、さっぱりしたですー。ニンゲン、フルーツ牛乳!」

銭湯じゃないんだから、無いわよ。

「で、ミミちゃん。なぜホワイトカラーに目覚めたので?」

その聞き方だと頭脳労働に聞こえるから。

「聞いてくださいよ、イモ虫さん!……あれ?なんででしたっけ?」

いろいろ水に流してきてる!?

「あれ、ボクは誰?ここはドコ?」

わざとらしく頭を押さえる悪魔。

「イモ虫、この記憶喪失の代わりに晩御飯食べてく?」

「覚えてます!ちゃんとお肉食べたいです!」

今日の晩ご飯、冷やし中華なんですが。

「で?絵の具無駄にした理由は?」

「実は、財布を落としまして」

シャレになってないよ?

「……500円も入っていたのに!」

かいさーん、今回の話、しゅうりょー!

「ご、500円ですって……それは、大変でしたね」

イモ虫が神妙な顔で……待って。なんで私はイモ虫の表情読めるの?

「虫さぁん……ボクは、ボクはぁ!」

「良いんですよ、今日は鳴きましょう。ほら、羽を擦り合わせて」

鳴くってそっち!?


ウチには悪魔がいる。

「結構楽しいです」

羽を擦り合わせて鳴いている悪魔が。

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