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悪魔がウチにおりまして・61

ウチには…。


「ねえ、ボクのこと忘れてないかい?」

出し抜けにネコが玄関脇の窓から顔を出して尋ねてくる。

居たね、こんな不思議系。

「忘れてて問題ないでしょ?アンタウチの子じゃないんだし」

「そうだけど。こんなに愛くるしいボクを忘れるなんて、薄情じゃないかなって」

するりと部屋の中に潜り込むと畳でネコ特有のごろにゃんをする。

「外飼いなんだから人のウチに上がるなら足綺麗にしなさい」

雑巾を放り投げると自分で足を拭かせる。

うぱ、真似して拭かなくてもアンタ浮いているでしょう。

「おや、こんなところに飛来者が居るなんて。よろしく、ボクは…」

「ちょいちょい、ネコ、うぱ知ってるの?」

ほとんど見ることの適わないうぱをさらりと見るあたり、やはりこのネコただ者ではない。

「なんだ、キミは知らなかったのかい?てっきり神の祝福に賜りたくて同居しているものだと思ったよ」

「ウチじゃ私以外見えないもの。え?神?」

うぱが胸を反らしながら腰に手をやっている。エッヘン、じゃないの。

「本当に知らないようだね。まぁこの世界に伝わる神ではないから仕方のないのだけれど」

ネコは毛づくろいをしながらうぱの事を語る。

そうかい、それくらいのことはどうでも良い事なのかい。

クモがするすると降りてくる。

神という言葉に反応したようだ。

この子、うぱ反対派だったし。

「キミも気になるのか。無理もない。見えないものは恐怖の対象。そうは言ってもこのニンゲンが見えすぎている風もあるけどね」

「アンタも人を人外扱いですか」

その言葉にじっと私を見つめるネコ。

ふうとため息を吐きやがる。

「冷静になって欲しい。悪魔、神の眷属、仏の門下。外からの飛来者を感知出来て真っ当な人間だと?その考えが人間に対しての侮辱だ」

「その言葉も私に対しての侮辱では?」

「そもそも。他の者たちの言葉が周囲に聞こえていないのは把握しているだろう?勝手な予想だけど、ここに居る子たちは飛来者のことは見えないんじゃないかな?」

「羊も見えないけど」



「…彼が見えないのはいただけないね」

ネコが片眉をひくひくさせると羊が畳をバリンと突き破る。

「身の危険を感じました。なぜでしょう?」

「久方ぶり。相変わらず勘が良いようで何よりだよ」

「うわ…」

羊がこんなに嫌そうな顔、珍しいなー。


うぱの正体が少しわかった。

ネコに教わったのが癪だけど。

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