表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
636/1160

悪魔がウチにおりまして・625

ウチには悪魔がいる。

なんか雅になっている悪魔が。


「くれないにー染まる我が身を慈しみー癒しをくれる、者は無きなりー」

若干怒られろ?

「悪魔、短歌?」

あえて内容には突っ込まずやってることのみ尋ねる。

和服を着て、短冊に筆で文字をしたためる様子はまさに雅。

内容が著作権アレってるけどまぁセーフでしょう。

「そうなのですー。ごんちゃんに教わって短い言葉で気持ちを書くのがお上品だって言われまして」

その結果世界的ロックの歌詞をもじったわけですね。

「パクリはダメよ?」

「インスパイヤです」

マネした自覚はあるのね。

「難しいのです。こんな短い文字で言葉を伝えるなんてー」

短歌とか俳句とか、確かに難しいわよね。

「ニンゲン殿、あなたも日本人なら短歌のひとつやふたつ、読めて当然では無いですか?」

狐が変な圧をかけてくる。

「その理屈で言うなら狐なら油揚げ作れて当たり前って言うけど?」

「それは狐差別です。別にあぶらげ嫌いな子もいます」

心なしか耳を垂らしているので効いたっぽい。

「クモちゃんも短歌読むですー?」

情報が渋滞してない?

確かにクモが筆を持って短冊掲げてる姿は可愛いものがあるけれど。

さらさらと筆を操り、文字を書いていく。

「クモちゃん書けたですかぁ、どれどれ……」

悪魔と共にクモの書いた短冊を覗き込む。

『蝉時雨、落ちる頃合い日も落ちて。涼風すずか運びてふうり鳴る』

私と悪魔、絶句。

「ほう、クモちゃんの短歌、とても良いですね。情景が思い浮かびます」

狐が短冊を捧げて目を細める。

クモ、照れて頭を掻いている。

「な、なかなかじゃないですか???」

悪魔が露骨に動揺しているのがわかる。

「ニンゲン殿も感想をお伝えくださいな」

なんか改まっての感想って恥ずかしいなぁ。

「クモ、すごいね。とってもいい」

ぴょんぴょん跳ねるクモ、嬉しそうねぇ。

「ちかしクモ殿にこのような才があるとは。何を考えて書いたのですか?」

クモはボールペンで紙に書いている。

「せみたべたい」

……みんな、無言。

「……クモ殿、結果がすばらちいのでよいのです、よいのですが……」


こんな狐の苦悶の表情は、これ以降見れないだろうなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ