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悪魔がウチにおりまして・616

ウチには悪魔がいる。

安全メットを被った悪魔が。


「それではー安全訓練を行なうですー」

「ウエイトです」

唐突に何かをおっ始めた動物の行動を止めて事情を聞く。

「ニンゲン、この国にはこんな言葉があります。備えあれば憂いなし。ボクの好きな言葉です」

微妙にネタが古い!

「いきなり安全訓練もおかしいでしょ」

1番の危険生物が訓練主動なのが1番の問題。

「なぜですか!日ごろの備えは大切です!後悔先に立たず、ボクの嫌いな言葉です」

わかったから!

「それに今回は特別講師も呼んでます」

特別講師ぃ?

「私です」

そこにいたのは付け髭を付けた羊。

わかってたよー、身内ネタなのはー。

「今回ミミ君からの発案で訓練と相成りました、皆さんよろしくお願いします」

「羊さん!言われた通りの物を用意しました!」

悪魔の手には段ボールと割り箸鉄砲。

うん、今回もトンチキか。

「ニンゲンさん、今回もお遊び、そんな風に思ったでしょう!」

繰り返しの説明どうも。

「どれくらい危険が溢れているか、実際この目に見せましょう!ミミ君!」

悪魔はビシッと敬礼をして羊に向き直る。

「何なりとー!」

「それではその割り箸鉄砲で私を撃ちなさい!……あ、その前に失礼しますねー」

見栄を切った羊がからりとベランダの窓を開けてから再び悪魔へ。

「ひ、羊さん……ボクには、できないです!」

「撃ちなさい!ニンゲンさんが学ぶための犠牲……撃つのです!」

いいから早くやってくれる?

「く……羊さぁぁぁん!」

悪魔が割り箸鉄砲の引き金を引く。

ちゅんっ!はい?

悪魔の放った輪ゴムは視界から消え、ついでに羊も消えた。

「ねぇ!?それ何!?」

「え?普通の割り箸鉄砲ですよ?」

ですよ?じゃないのよ、このアホンダラ!

ていうか、わざわざ窓を開けたのそのためか!

「というわけで世の中には危険が以下略。ミミ君!同じ威力で撃つのです!」

玄関から戻ってきた羊は今度は段ボールを構え悪魔に指示を出す。

ちゅんっ!どごっ!おかしいだろ、その擬音!

羊の構えた段ボール、そこにしっかりと突き刺さった輪ゴム。

「このようにちょっとした防御で攻撃を防げるのです!備えあれば憂いなどございません!」


ウチにはクモがいる。

みんなも安全メット貰ったのねー。

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