悪魔がウチにおりまして・608
ウチにはヒヨコがいる。
床にびっしり敷き詰められたヒヨコが。
「ニンゲンー!助けて欲しいのですー!」
「どうしたのよ」
まぁ、このヒヨコの説明からしてほしいけど。
「オスメス分ける仕事してたら混ざったですー!」
「ヒヨコ、整列ー」
「ぴぴっ!」
私の声にヒヨコはちゃんとマス目のようにきちんと並ぶ。
「オス、こっちー」
「ぴぴーっ!」
指を差したほうに半分くらい進んで行く。
「これで良い?」
悪魔はヒヨコたちを箱に詰めながらジト目で見てくる。
「ニンゲン、ほら。こう、なんというか。手心を」
殺してないよ!?
「考えてください。このヒヨコ分別でこの話終わらせられたのですよ?作者の苦労を考えられないのですか?」
その秒で終わらせたのも作者でしょう。
「ニンゲン、この前作者に会ったでしょう?ずんぐりですよ、メンタル弱いのですよ?ヒヨコで癒されたかったのですよー!」
「ぴぴぴー!」
残ったメスたちが悪魔に賛同するように鳴き叫ぶ。
「残った子ー、こっちにパンくずあるからー」
「ぴっぴぴー!」
ヒヨコたち、隣の部屋に駆け込む。
「ニンゲンっていつからケモノ使いになりました?」
「そりゃ毎日ケモノと顔合わせてたらね?」
「みー?」
ウチに居候しているケモノは首を傾げる。
「ところでヒヨコ分別なんて誰から頼まれたのよ」
「サムちゃんからですー」
「…………あぁ、あのアヒル」
「長かったですね、思い出すまで」
むしろまた出てくると思ってなかったからね。
「サムちゃん、養鶏場を始めたみたいでして。そのバイトです」
アヒルがニワトリ育てるの、シュールすぎるでしょ。
「ちなみに1匹いくら?」
「5円です。ニンゲン、1円渡すからやりません?」
悪魔の下請けって不名誉すぎる称号付けたくないので嫌です。
「ニンゲン、その力を活かさないなんて勿体ねぇですよ」
あんまり欲しくなかった力ですけど。
「いいのよ、これ以上面倒見る動物増やしたくないから」
「えー、ボクのお小遣いー」
「家賃、55%にしてくれるなら」
「諦めます、やです」
相変わらず判断早いなぁ。
ウチには悪魔がいる。
「オスー!こっちー!」
「ぴー?」
そこにはメスしかいないんだってば。




