悪魔がウチにおりまして・605
ウチには悪魔がいる。
プリンを食べながらフリーズしている悪魔が。
「どうしたの、悪魔?」
「来る……災厄が!」
「はっ倒しますよー」
さらりと不法侵入をかます担当。
「……あの、カギは?」
「あんなの針金2本で開けられます」
やめろよ、本職っぽいこと言うの!
「災や……担当ー、今日はどうしたですー?」
悪魔、本音が漏れてるぞ。
「毛むくじゃら、あとでライターであぶります。いえ、あの羊の原稿料が上ったのでその契約書を作りに」
さらりと拷問を告げるあたり、本当に災厄だわ。
「羊さん、また金儲けが上手くなったのですか?」
悪魔、言い方考えろー。アンタ仮にもファンだろー?
「そうなのよ。悔しいことに売れ行き絶好調。なんであんなひぃひぃ言いながら書いてるのに売れるのかしら?」
悲鳴を上げているのはあなたのせいだと思うよ。
「なんで喜んで無いんですか?売れ行き好調なら手柄でしょ?」
普通、本が売れたらその担当も褒められるものだと思うけど。
「ウチの会社ブラックなんで。原稿料も、私が条件つけてあげてもらったんです」
おぉ、それだけ聞くとこの人まともに見える!
「5%上げてもらったので。3%こちらに流してもらおうかと」
うん、予想通りだ。
「担当!残り1%をください!」
マジモンの悪魔がいる!もともとそうだけど!
「それ、法律上ややこしいからヤ」
……仮に問題なければ上げたんだろうなぁ。
「おや……私、とっても大事な用事を」
「待ちなさい。ツノ」
呼び方が雑じゃない?
「かくかくしかじか、だから金よこせ」
「そんなセリフ、自分の担当から聞くって地獄でしょうか?」
羊も慣れてきてるなぁ。会いたくないのは事実なんだろうけど。
「なんでですかー。あなたが悪魔って黙ってる口止め料、貰ってないでしょー?」
「それ、バレたとして仕事失うのあなたでしょう」
「うっわ、聞いた?毛むくじゃら。この悪魔私を脅してきたよ」
「担当、コレの名前知ってます?」
悪魔はクの字の木の加工品を見せる。
「ハンガー。大体、あんたは私にどれだけの恩があると思ってるの?」
「仇じゃなく?」
なんか羊強くなったなぁ。
ウチには羊がいる。
「仕方ないので2%で手を打ちましょ。けってー」
「本来、決定権は私では?」
至極真っ当なことしか言っていない羊が。




