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悪魔がウチにおりまして・603

ウチには悪魔がいる。

筆を走らせている悪魔が。


「悪魔ー、さっきから何書いてるの?」

小さな紙にさらさらと筆で何かを書いている。

コイツがこんなことをしているなんて、まともなことをしているわけがありません。

「呪い符を作っていますー」

「やめなさい、すぐに!」

今日もウチあく相場、悪魔の信用が急降下しております!

「なぜですか!別にニンゲンを呪っていないというのに!」

逆に誰呪ってんだ。

「コレはですね、呪詛課の新人に向けた資料作成です」

おっと、急降下していた悪魔相場、一旦の停止。

このまま動向を見守りましょう。

「最近、悪魔業界も不況のあおりを受けててんぷらわんやしてます」

ツッコみません。

「なので事業拡大を兼ねて、東洋の神秘に手を出しました」

「それ、いつ決まったの?」

「きのう」

相場が地平に!

イメージ上でモグラが地面を掘っている!

「悪魔、それ誰に習ったのよ」

「誰でしょうねぇ?こんなすんばらすぃー呪いを教えたのは」

モグラの掘った地面から這い出してきたイモ虫。

イメージを突破するな!

背中には「私がやりました」というプラカード。

それは犯人の自供なのよ。

「ししょー!試作品、できたのですー!」

「どれどれ……。ねぇ、ミミさん。なんでコレ、みーを呪ってんの?」

「だって呪いが叶っちゃったら大事じゃないですか。ししょーなら別に呪っても平気かなって」

一切悪気がなさそうなのが始末に負えない。

「まぁ、この程度の呪いは3時のおやつみたいなものですけどぉ」

食べるな、呪いを!食べるな!

「あー、でもコレ、ここの龍の文字。点が足らないから成立してません。やり直し!」

直させていいの!?対象、自分でしょ!?

「ニンゲンさん、この程度の呪いで、みーがやられるとでも?笑止!我を倒したところで第2第3のみーが新たに召喚されるでしょう!」

しっかりやられているじゃないの!

「ふふふ……我はイモ虫の中で最弱……寄生虫を払う水面ジャンプで死ぬかもしれないほどの脆弱さよ」

マンボウじゃないんだから。

「じゃ、この呪い符はニンゲンにあげますー。ここに点を打てばイモ虫ちゃん呪えます!」

いらんわ!!


ウチにはイモ虫がいる。

「呪うなら、レア?それともウェルダン?」

ステーキになりたい様子のイモ虫が。

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