悪魔がウチにおりまして・599
悪魔がウチにおりまして・599
ウチには悪魔がいる。
風邪で寝込んでいる悪魔が。
あえて言おう、自業自得であると!
どんな身体の構造しているのか、次の日には毛並みは生え揃ったのだが、たまたま寒い時期と重なり見事風邪をダイレクトしました。
「これで禊といたちましょう。不本意ですが」
そんなこと言いながら狐は仕事に出ていきました。
「ニンゲンー、お粥ー」
「自分で作りなさーい」
さすがに今回は同情できないでしょう。
「あいー」
断るとベッドから出てきてキッチンに向かう。
意外と元気じゃない。
「ニンゲンー、かつお節使って良いですー?」
「いいよー」
かつおパック開けちゃうと全部使わないといけないから許可制にしてたんだけど、ちゃんと守ってえらいえらい。
「ニンゲンー、お米炊くところからですかー?」
「そうよー」
「諦めますー」
キッチンを覗くとかつおパックにクリップを付ける悪魔。
湿気らないようにしていい子ねー。
「カップ麺食べちゃって良いですかー?」
「どうぞー」
体調悪い時にカップ麺は良いのだろうか?
「昔はこんな簡単に風邪ひかなかったんですけどねー」
「悪魔の昔って何年前よ」
天井を見て指折り数えている。
「……500年?」
スパンが、長い!
「江戸時代だっけ?」
「ニンゲン、ぶっぶーです。わびさび時代です」
無いよ、そんな時代。
「昔ってカップ麺あった?」
少し意地悪をしたくなった。
悪魔はゆっくり首を振る。
「カップ麺なんて最近の食べ物ですからー。発明されたときは驚いたものですー」
こういう答えを返すあたり、悪魔はちゃんと長生き何だなぁと感じる。
見た目ゆるキャラのケモケモにしか見えないけどなぁ。
1分半で蓋を開けて箸でぐるぐる。
「早くない?」
「このバキバキが良いのですー。どうせ火は通ってますし」
風邪を引いていること、忘れてないか?
はふはふとカップ麺をすする悪魔。
「さっさと治しなさいよー」
「だったら看病してほしいですー」
ウチには悪魔がいる。
カップ麺ひとつ、それだけで眠ってしまった悪魔が。
早く治んなさいよー。




