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悪魔がウチにおりまして・58

ウチには平穏が居る。

何事もなかったかのように。


「全く、今日は無駄足でした」

羊が溶き卵を混ぜながらダシ醤油を調整している。

悪魔系はご飯の上に何かかけるのが好きなのだろうか。

「ヤギさん、そんなことありませんよー。討伐報酬はいるじゃないですかー」

「ミミはそれだから困るのです。討伐は指令がないと報酬がでません。現行犯でも捕獲、連行が必須なのです」

悪魔が羊の言葉に箸をカランと落として青ざめる。

「…ボクのお給料が思ったより少ないのは…」

「毎回通達出してましたが…読んでないのが悪いでしょう」

そのままうなだれる悪魔。

「読みませんよぉ…羊皮紙、何枚あると思ってるんですかぁ」

「ちゃんと読みましょうね。幸いあなたが扱う仕事は現行犯に近いものがあるので罰則はありませんでしたが、今後わかりませんよ?ニンゲン、お替り」

「自分でやんなさい」

久しぶりにスリッパを取り出した。


「しかしずいぶんアナログなのね。いまだに紙…というか羊皮紙使ってるの?」

角スマホの技術を考えると、すでに現代と同じ管理がなされていても不思議ではないように感じる。

「データが膨大過ぎまして。しかも連携などやれる者が居ませんので結局保存するために…」

「そこまでにしておけ」

羊の言葉の途中に誰かが口を挟む。

今度は羊が箸を落として白くなった。

「ずいぶんと口が軽いようだな。先ほどの報告書私を虚仮にしているのか?」

いつの間にか部屋に居たのは数珠繋ぎ装飾を両肩からクロスにかけた背の高い男。

つまり門(畳)を通らずに来れる者ってことね。

「『捕獲対象は現地の住民が誤って踏みつぶした』…貴様、舐めているのか?」

「いいいいいいえ!滅相もございません!!わたくしは事実を記載したまででしてっ」

おー、慌ててるなぁ。

「ヤギさん、この方は誰ですかー?」

間延びした悪魔の声に気温が一気に下がる。

この子、こんなに空気読めなかったっけ?

「ししし!失礼をいたしました!この者、まだ新入りでしてっ」

「極方支部偵察隊、遊撃隊長だろう?私が任命したものの顔を忘れると思うか?」

「…あー!専務さん、お久しぶりですー!」

この空気読めない子、どうにかしてほしい。


ウチには専務が居る。

そこそこ怒ってらっしゃる、悪魔の親玉が。

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