表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
608/1160

悪魔がウチにおりまして・597

ウチにはクモがいる。

ででんっとしているクモが。


このででんっていうのは別に擬音ではない。

クモが背中に「ででん」と書いた紙を背負っているのだ。

こんなことしそうなおバカはひとりしかいない。

「悪魔ー、クモで遊ばないのー」

「え?ボクじゃないですよ?ニンゲンだったんじゃないですか?」

するかい、こんなこと。

悪魔の頭にスリッパを乗せながら首を傾げる。

こんな意地悪する相手なんて……。

「なになにー。クモちゃん、自分で乗せたそうですー」

悪魔、スリッパをメガホン代わりして言葉を聞くんじゃありません。

でも、自分で乗せた?なんで?

クモはたくさんの目をこちらに向けて、心なしかキリっとしてる。

「クモちゃん的にはこれからの季節、自分の出番と思ってるみたいですー」

ほわい?これから何かあるの?

「ほら、暖かく……ていうか熱くなって来てるので虫が湧くじゃないですか。虫にとってクモちゃんたちは天敵です」

クモを見る。そしてロフトを見てコモンずたちを見る。

虫って言いますか、人にとっても脅威な気がしますけど。

「人、襲わない?」

クモは両手を鎌にして振り上げている。

悪魔、スリッパで対抗するのはやめなさい。

「ふむ、クモちゃんはグルメだからニンゲンなど食べないと言ってます」

ホントにぃ?

クモがそんなこと言うぅ?

だが、悪魔の言葉に同意するように鎌を戻して胸の前で組んでいる。

「ニンゲンは雑食だから匂いが強いそうです。栄養価の高いのはやっぱり虫だそうで」

気付いてない、気付いてない。

人を食べたことが無ければ出てこない言葉なんて聞こえてない。

「しかし、クモって虫、食べるの?」

「何を言ってるです?ニンゲン」

ウチで普通にご飯食べてるし。

「クモちゃんたち、定期的にこのビルの虫、取ってますよ?」

悪魔から聞き捨てならないセリフを聞いた。

このサイズのクモが外闊歩してたら自衛隊案件よ?

「クモちゃん、姿を消せるので」

悪魔、いくらなんでも……は?

今までクモのいたところにででんって書かれた紙だけ浮いている。

「クモちゃん、戻って良いですよー」

悪魔が声をかけるとスーッと元のクモの色に戻った。

「すごいでしょー?クモちゃん最近できるようになったんですって」

照れたように頭を掻くクモ。

「クモ、家では消えるの禁止ね?」


ウチには悪魔がいる。

「クモちゃん!そろそろやり方を教えてください!」

種族の壁に挑む悪魔が。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ