悪魔がウチにおりまして・588
ウチには悪魔がいる。
いきなり叫びだした悪魔が。
「どしたの!悪魔!」
とんでもねぇ奇声を上げ始めた悪魔に驚きリビングに向かう。
「ま”--------!」
『あ”--------!』
悪魔がスマホに向かって叫び声をあげるとスマホから同じような声が響き渡る。
「……悪魔、歯医者呼ぶ?」
「ふぁーーーーーーーっく!」
勢いに乗って汚い言葉を使うんじゃありません。
「ニンゲン、このプレーリーの動画知らないのですか?」
『あ”--------!』
止めろ、その動画!
「あったわねぇ、そんなの」
立ち上がったケモノが力の限り叫ぶアレ。
「この動画に合わせて叫ぶとストレス解消になるのですよー」
おやめなさい。
うぱがマネしてるじゃない。
まぁ、うぱの声は聞こえないから本当に叫んでるのか判断できませんけども。
「ほら、モヤシ食べて気を鎮めなさい」
「ニンゲン、割とそれストレスの原因です」
それならなぜ買った!?
『あ”--------!』
「動画止めなさい」
あー、頭がくらくらする。
「ニンゲン、どうしたです?更年期ですか?」
スマホを取り出して「悪魔 祓い方」を久しぶりに調べるなどと。
「おや?ニンゲンさ」
『あ”-------!』
羊の登場がぷれぃりぃに邪魔される。
羊は持っていたバッグから怒りマークのステッカーを取り出すと角に貼る。
「ミミ君、怒りますよー、ぷんぷん」
羊ー、かわいくないぞー。
「しかしミミ君、頭大丈夫ですか?」
羊さん、ドストレートなディスりはダメです。
私の注意を受けて羊はふるふると首を振る。
「違います。その動画、ニンゲンさんたちには無害なのですが。この前対悪魔に対して浄化効果があるとかないとか発表されたんです」
悪魔の顔が青くなる。
「そういえば、コレを見てると頭が痛くなるような……叫ぶと平気なので気にしてませんでした」
叫びすぎて酸欠と思うもんね。
「ミミ君、もし体調が悪いなら早めにお医者にかかることをお勧めします。近くですと、歯医」
「羊さん?ジンギスカンが美味しい季節ですね?」
羊に対しても同じなのかよ。
ウチには悪魔と悪魔がいる。
バリカンで攻防を繰り広げる悪魔2匹が。




