悪魔がウチにおりまして・586
「ボクは知りました。
ニンゲンたちの業、悪意。
そのすべてを許してはいけなかったのです。
だから、ボクは人類を滅ぼします。
さようなら、人る……」
「ガチャ程度で人類滅ぼすな!」
スマホに抱えた悪魔の頭をひっぱだく。
さっきまで叫びながらスマホを叩いていたのが静かになったので注意してたらそんなこと言ってるんだもの。
「ニンゲン……ガチャは、ガチャは悪い文明なのですー!」
悪魔は項垂れながら叫ぶ。
「仕方ないでしょ、確率なんだから」
悪魔の言っているガチャはもちろんソシャゲのキャラを引くための電子くじ引き。
てか、悪魔がソシャゲをやるなよ。
「ニンゲン、ダメなのです。あと1枚で完凸なのです、引くしかないのですー!」
「お黙んなさい」
再び頭にスリッパを叩き込む。
「いい?いくらアンタのお金とは言っても限度があるでしょ?さっきからポンポン課金して。いくら入れたの」
悪魔はゆっくりヒヅメを3本立てる。
まぁ、3万なら……。
「さんじゅうまん」
「ひゅっ」
変な声出た、変な声出た!!
「さ、ささ!?」
「仕方ないのです……。あと1枚で星5・SSR、明けの明星ルシファーが完凸できるのです……」
にしたってやり過ぎだろうよ。
「悪魔、ルシファーならいつでも会えるじゃない。そこの歯医……」
「ニンゲン?30万を失ったボクはリミット浅いですよ?キレますよ?泣きますよ?というか吐き気がします」
なら途中でやめろよ!
「……30万って払えるの?プリペイド?それともキャリア払い?」
「ちゃんとコンビニで買いました。店員さんに何度も特殊詐欺疑われました」
この街の防犯意識、ちゃんとしてて喜ばしい限り。
「ニンゲン……明日からボクはどうやって生きていけば……」
「自業自得。モヤシでも育てなさい」
あれ、モヤシって育てる物だっけ?
「でもよくそんなにあったわね、お金」
コンビニ行ったってことは現金払いよね。
「継続的ニンゲン安のお陰でお給料自体はたくさんなので」
まだ安いのか、種族価格。
「ニンゲン、単発引いてみます?」
「えー、ヤダ」
そう言いながら悪魔のスマホを触れる。
回る演出……虹?
ウチには悪魔がいる。
私にひれ伏している悪魔が。




