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悪魔がウチにおりまして・585

ウチには悪魔がいる。

部屋でだらだらーってしている悪魔が。


「また五月病?」

「違います、やる気が家出しました」

また訳のわからないことを。

「アンタが行きたいって言ってたクリームブリュレ、受け取りどうすんのよ」

「ニンゲンに任せます」

とりあえず家にあるスリッパを全て悪魔の頭に乗せて家を出る。

せっかくキャンセル待ちのスウィーツ、こんなくだらないことで無駄にするのは勿体ない。

「まったく……あれ?」

しばらく歩くと目の前に見慣れた毛むくじゃらがせっせとゴミ拾いしていた。

「アンタ、こんなところでなにしてんのよ」

人に受け取り押し付けくさってからに。

「ニンゲンっ!さわやかな昼ですねっ!」

……おおう?なんか気持ち悪いぞ!?

「あんた、悪魔、よね?」

「そのとおりですっ!ボクがどうかしましたかっ!」

どうかしかしてないんだが?

近付くと悪魔が普段より小さい。

それこそよく見れば、というよりも極端に。

なんなら私の腰までもない。

「アンタ、小さくない?」

「そんなことありませんっ!普段通りですっ!」

ていうか、なんか声でかい。そして普通に悪魔姿で外歩いてるんじゃないよ。

「……今からブリュレ取りに行くこと知ってる?」

「ブリュレっ!食べたいですっ!ボクが行きましょうっ!」

なんとなくわかった気がするんだよなぁ。

「いい?私が取ってくる。必ずここで待ってること。そうじゃなきゃブリュレ無しです」

「わかりましたっ!お待ちしてますっ!」

聞き分けのいい子でよかったです。

さて、さっさと取ってこのバカ連れて帰らないと。


「悪魔ー、コレ、あんたのー?」

ブリュレを引き取り、ミニ悪魔を引きつれ家に戻ると案の定家でスリッパに埋まっている悪魔の足が見える。

出ろよ、1時間は経ってるぞ。

「なんですか、ニンゲンー」

出ろよ!確認しろよ!

「ややっ!ボクなのに情けないっ!」

ミニ悪魔が叫ぶと悪魔ががばっと飛び起きた。

「ボクのやる気!!」

本当に家出したのかよ!

「早くボクを取り戻すですっ!さ!ブリュレが待ってますっ!」

なんていうか、うん。すごいね、うん。


ウチには悪魔がいる。

頭からミニ悪魔を食べている悪魔が。

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