悪魔がウチにおりまして・583
「オンユアマーク・レディ。アタックポイント・ズィロ・ズィロ・トゥリー。カウント・トゥリー・トゥー……ファイヤ」
轟音。
悪魔の機体から射出されたミサイルは、白煙を噴き出しながら目標に向かって進んで行く。
『ミッション・コンプリート』
「ラァジャ。アイ・ウィル・リターン。オーバー」
「おいこら」
エセ英語を使いながら帰還宣言をする悪魔の頭にスリッパを叩き込む。
「なにするですか、ニンゲン!運転中に頭を叩くと危ないのです!」
「もうリザルトでしょうが」
そう、このゆるキャラに本物の戦闘機など飛ばせるわけもなく。
部屋にデーンとあるゲームセンターなどにある戦闘機型の筐体、そこから悪魔が降りてくる。
半分より先、部屋を貫いている筐体をまじまじ眺める。
「これ、もしかして壁抜いてる?」
確か隣は羊の部屋だったはず。
「そんなことしたら、壁にめり込むのはゲームじゃなくボクです」
……キレた狐なら有り得る。
「じゃあどうやってんの?半分くらいよね?」
「ふっふー。四次元ぶち抜きー!」
ぱんぱかぱーんってBGMどこから鳴ったの!?
「このチョークでなぞるとその部分が四次元に繋がるのですー!」
「悪魔、しっだん」
びしりと指で床を差すとキリっとした顔で正座する。
「コレ、戻るの?」
「濡れ拭きでチョークを落とせば戻ります!」
しゅぴっと手を上げる。
戻るなら、よし。
せっかくなので正座してる膝に石を乗せましょう。
「ニンゲン!?行動がサイコパスです!今回はボク、本当に悪くないですよ!?」
普段の余り、もしくは前払いです。
「ところで悪魔、このゲーム筐体いくら?」
「ニンゲン、石を増やしても良いのですよ?」
ねぇ、いくら!?
「あれ、懐かちいですね」
マスクを付けた狐が悪魔に石を乗せているとき、部屋に入ってくる。
「これ、そんなに昔の?」
「……たちか10年前でちたか。ミミ殿とふたりでハイスコアを競ったのはいい思い出です」
狐が、乗り込み系シューティング?
「ごんちゃん、助けてー」
「ミミ殿、騒音クレームが来てます」
「石を増やすですか、ごんちゃん」
ウチには悪魔がいる。
膝に5つも石を乗せた悪魔が。




