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悪魔がウチにおりまして・575

ウチにはサメがいる。

エラ呼吸どうした。


「サメです」

「見ればわかる」

コイツは以前、悪魔が釣り上げたヤツだよね。

そのあとのこのこ出てきた気がするけど、まさかまた湧くとは思わなかった。

「ミミちゃんは」

「名前を呼ぶ仲になったの?」

悪魔はまぶたの無い目でじっと見てくる。

「アナタはコミュニケーションが取れないのですか?それともサメごときとは話す価値が無いと?」

「なんのことよ」

なんか、いきなり辛辣になりましたけど?

「ボクはミミちゃんが居るのか、と聞きました。ですがアナタはボクとミミちゃんとの関係を聞いてきた。コレを没コミュニケーションと言わずなんと言いましょう」

筋が通ってるからムカつく!

「それは悪うございました」

「結構。で、ミミちゃんいないので?」

そういえばどこ行ったんだろう?

「さっきまで居たんだけどね。アンタ来ること伝えた?」

サメは鷹揚に頷く。なんで縦に首が動くのか。

「むしろミミちゃんに呼ばれました」

呼ぶな、呼ぶな。ほら呼吸も辛かろうよ。

「ここで待ちますか。冷たい水をください。できたらアイスでください」

絶妙に上手いの腹立つな!

「意味かぶってるよ」

「ジョーク、ジョーク……いえ、ボクはジョーズでしたか」

くぅ、ちゃんと面白い!

言われた通り、コップに水を入れて渡すと取り出したハンカチを濡らしてエラに貼る。

「はぁ、生き返ります」

そんな死にかけてまで出てこないで欲しい。

「アンタ、なんて呼べば良いのよ」

今後も出てきそうだし。

しかしサメはキョトンと目を丸く……元々丸いわ、コイツ。

「サメで良いんじゃないですか?どうせ見分け付かないでしょ」

確かに!次、別のサメ来ても気付かなそうだわ。

「ふぅ。ミミちゃん帰ってこなそうなので帰りますか」

「アイツ、しばいとく?」

「……もう少し穏やかに生きましょうよ」

サメにディスられたよ!?

「コレ、お土産です。世界三大珍味の」

まさかまた身内を売り払うのか。

「トリュフです」

「次、来るときは前もって言って?ツッコミ役用意しておくから」


ウチにはサメがいる。

「なぜですか。掘るの大変だったんですよ」

アンタが採ったのかい。

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