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悪魔がウチにおりまして・573

ウチには悪魔がいる。

ぼふん。

おいおい、平和に終わると思ったのに。


「あー……爆発したですー」

黒煙立ち込める部屋から悪魔が泣きながら出てくる。

そういえば前に爆発する砂糖菓子を部屋で開けていたな。

「悪魔、またあのお菓子部屋で開けたの?」

既に折檻の用意をしてバットが良いかメリケンが良い手さぐりで選ぶ。

「違うですー。お部屋で花火をしたら燃えたですー」

狐に相談して追い出そうかしら?

「相変わらずですねぇ」

羊が茶をすすりながらほっと一息を吐く。

「羊、悪魔しばくの手伝う?」

「遠慮しておきますー」

「なんでボクの虐待をそんな朗らかに話してるですか!?」

部屋を燻製しておいて何を宣いますか。

「悪魔、自ら捕まるならおかず減らさないであげる」

「あい」

素直に両手を差し出す悪魔。

ご飯抜きは虐待?いいえ、しつけです。

悪魔の手をロープで縛りつつそのまま椅子に縛り付ける。

「せっかくのゴールデンウィーク、穏やかに締めればよろしいのに」

「その穏やか締めさせてくれないのはコイツでしょ」

「ニンゲン!?うぱちゃん止めてください!柚子胡椒を直には勘弁してほしいのです!」

うぱも時々遠慮ないなぁ。

「うぱ、悪魔で3時間遊んでいいよー」

私の言葉にうぱは目を輝かせる。

「うぱちゃん、何をするつもりですか!クモちゃん!?まさか、それは……」

うぱはふわふわと飛んでクモを呼ぶ。

クモは目を擦りながら台所に向かう。

そして手に缶を持って戻ってくる。

「そ、それは取っておいたクッキー……?やめるです!そのクッキーは期間限定なのです!」

悪魔は椅子をガタガタ揺らしながら暴れている。

あ、そのクッキーこの前ニュースで見たヤツ。

「それ、担当さんが持ってきてくれたモノですね。まだ残ってたんですね」

「私、初耳なんですが」

スッと目を逸らす悪魔。

「ミミ君、お伝えしましたよね?皆さんでどうぞって。そうですか、そうですか」

羊はうんうんと頷きながらクッキー缶を開けた。

中身は既に半分を切っている。

「そうですね、クッキーには紅茶が合うでしょう、ごん君の分も残しておかねば」

「みぃぃぃぃ!?」


ウチには悪魔がいる。

空になったクッキー缶を舐めている悪魔が。

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