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悪魔がウチにおりまして・568

ウチには悪魔がいる。

デビットソンに乗った悪魔が。


大型バイクだ。

だだんだんだだんの人が乗ってる感じの。

要するに悪魔に手が届くわけがない。

「そうか、今回は夢オチ回か」

「ニンゲン、冒頭で夢オチというの、どうかと思います」

だって本当のことでしょうに。

悪魔が届かないバイクのハンドルを握って荒野を走る。

免許?ナイナイ。どうせ夢だから思った通りに動きます。

「で、どこへ向かうの?」

シートに仁王座りしている悪魔。なんでふっ飛ばされないのよ。

「ニンゲン……風は、囚われないから風なのです」

「おっと危なーい」

どこからかキノコが生えてきそうな気がするー。

急ハンドル、急ブレーキ。

シートベルトをしていない悪魔はさながらバリスタのように発射される。

あー……飛んだー……そろそろ……落ちた。

上る土煙、駆けてくる悪魔。

「ニンゲン!?悪意しかない事故でした!」

さすがトンチキ回、悪魔無傷じゃない。

「ごめんごめん、今度はもっと近くに飛ばすから」

「飛ぶ前提!?ニンゲン、今日という今日は、あー!!」

悪魔は叫び声をあげた。

「コロコロ!西部劇で転がってるコロコロですー!」

あー、あるわねー。何の植物か知らないけど。

「待ちな!このみんなの縄張りを通るのはこのオレが許さねぇ」

暑くて寒いみたいな日本語、どーも。

のっそりと現れたのはテンガロンハットをかぶった牛。

「どうでも良いんですけど、私がカウボーイって皮肉じゃありません?」

同意。粋なのかシュールなのか。

「まぁ、いいですけど。えーっと……『この縄張りを通りたければオレと早う』」

カンペを読んでいた牛の頭にゴム弾が直撃する。

「ふぅ……ボクの道を遮るからですーふぎゃ!?」

思わず悪魔の頭にハリセンをお見舞いしてしまう。

「夢でもやって良いことと悪いことがあるでしょ!?」

「ボクの事、とぅーんってすっ飛ばしておいて何言うです!」

ケガが無かったから良いじゃない。

「えーっと、『オレを倒しても第2第3の』」

悪魔がもう1発ゴム弾をお見舞いする。ねぇ、アンタ牛キライ?

「さて、ニンゲン、進むです」

「『ひ、ひゃっはー。有り金置いていけー!』……恥ずかちい」

屋根の上から眼帯を付けた狐が飛び降りてくる。

「狐ちゃん、つらいならやめて良いのよ?」

「ニンゲン殿、起きたら忘れてください」

必ずや。


戦いの火ぶたが切られる。

……え、オチないの?

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