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悪魔がウチにおりまして・566

ウチには悪魔がいる。

食べ物への情熱が強い悪魔が。


「ニンベン、カレーが食べたいのですー!」

今、部首で呼ばれた気がするぞ?

いちいち気にしていても仕方が無いのでスルーしましょう。

「カレーくらい、いつでも食べれるでしょう」

「違うのです、違うのです!ボクが食べたいカレーは伝説のカレーなのです!」

おおっと、面倒なことを言い始めたぞう。

「ボクは知りました。古来より受け継がれた幻の」

「長い?」

「縮めます。なんやかんやあっての伝説のカレーが食べたいのです!」

信じられないくらい端折ったなぁ。

何の情報も無くなっちゃったじゃない。

「で?そのカレーはどこにあるのよ」

「知りません。だから食べたいのです」

無理を言うな。

「それじゃ無理。アンタに付き合って探しに行く気もない」

「ニンゲンのヒトでなしー。悪魔ー」

それはアンタ。1行で矛盾しないの。

「話は聞きましたよぅ」

あーあ、ややこしいの来たよ。

「牛さーん!ボクは食べたいのです、究極のカレーを!」

「いいぜ、アンタに食わせてやるよ。究極のカレーってやつを。……あれ?なんか自然とイケボに?」

やめて差し上げろ。ほら、カレーの話。

「ところでミミさんはカレーなら何でもいいんですね?」

「伝説のカレーが食べたいと言っています」

「コンセプトのわからないカレーは探りようがないので」

ほう、こうやってあしらえば良いのね、メモメモ。

「なら牛さんは作れるのですか!ボクを満足させるカレーを!」

おーい、ノリがグルメマンガなのやめろー?

「良いだろう、少し待ってな!……ねぇ、声が」

「怒られろ」

しばらくして、キッチンから香ばしいかほりが流れてくる。

「お待たせしましたー。謎カレーです」

作ったヤツが謎と言うな、これから食べるんだよ。

「ふむ、具は普通なのです……でも!問題は味なのですー!」

悪魔は高々と掲げたスプーンをカレーに突き刺し口に運ぶ。

「あ、美味しい。なんです、このカレー」

盛り上げるだけ盛り上げて軽いな!

「本当だ、美味しい」

私も食べてみると今まで食べたことのないほのかな甘み。

「牛さん!完敗です……これは、よいもの、です……!」

なんかそのまま死んでしまいそうな言いながらスプーンをせわしなく動かし続ける。

「よかったです。美味しいですよね、コーヒー牛乳入れると」

そんなもの入れてたの!?


ウチには悪魔がいる。

カレーは飲み物を実践している悪魔が。

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