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悪魔がウチにおりまして・561

私はベッドにいる。

ゆっくり眠る朝は幸せです。


「ニンゲンさん、起きてください」

ゆさゆさと揺らされている。

しかし今日は休み、寝ていても怒られることは無いでしょう。

「朝ごはんが片付きません、早く起きてください」

「あとでー、レンジに入れておいてー」

なんでもゆさゆさ揺らされる。

なんで今日はこんなにしつこいのだろう。

「起きないならニンゲンさんを食べますよー」

コイツ、悪魔じゃない!

がばっと起き上がると声の主にこぶしをお見舞いする。

ざらりとした感触、布団の陰から出てきたソレは!

「痛い。冗談ですのに」

サメだった。

「サメさん、ニンゲン起きましたー?」

悪魔はエプロンを着て私の部屋に入ってくる。

それよりもなんでサメが?

「悪魔さん、このニンゲン凶暴です、いきなり殴られました」

「だから言ったじゃないですかー、食べられないようにって」

食わないわい。

「悪魔、なんでこの魚類いるの?この前のアレ?」

釣りに行ったときに悪魔が間違って釣り上げたサメが居たけどその子?

「ですです。今朝お土産持って遊びに来まして」

「キャビアです」

同族の卵を売るんじゃない。

「アンタ、何シレっと陸上に上がってるの?サメって確かエラ呼吸じゃなかった?」

常識イズデッドもここまでくると慣れてくる。

しかしサメは深々とため息を吐いた。

「それを言ったらサメは喋りますか?その時点で比べられましても」

「悪魔、今夜フカヒレにする?」

もちろんこのサメを材料だ。

「おや、他者を先に貶めておいて逆ギレですか?霊長類の面汚しですね」

「サメさん、そろそろやめるですー。ニンゲンもご飯冷めるですー」

悪魔が仲裁ってレアかも知れない。

「仕方ありません。ここはひとつ停戦ということで」

そもそも戦争をしてないのよ。

「仕方ないわね、今日の朝ごはんは?」

「船盛りです、サメさんが持ってきてくれたですー」

元々冷めてますがな。

「今朝水揚げした新鮮な子たちです。味わってください」

子、とか言うな。食べ辛くなるでしょ。


リビングには大きな船盛りが置いてある。

「ちなみに血抜きも完璧でした」

このサメ、居座るつもりじゃないだろうな。

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