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悪魔がウチにおりまして・559

ウチには悪魔がいる。

部屋の真ん中で宙吊りになっている悪魔が。


「誰にやられたの?」

天井から降ろされた糸で逆さ吊りになっている悪魔はくるくるとコマのように回っている。

「あぁぁ、にぃんんげぇんん、自分でぇぇやったぁぁですぅぅ」

なんでだよ、しかも回ってるから聞きづらいんだわ。

「すべて!何事も!嫌になったのです!」

そんな理由で自ら吊るされます?

うぱが「ボクが縛りました」ってプラカード持ってるけど、あんた触れられないでしょうに。

「この世のすべては悪ばかりー。燃やせっ燃やせっ燃やせー」

いつもだったらアホなことと流せるのだが今回の奇行はあまりにも並外れている。

「悪魔、熱でも測る?」

この質問もケンカ売ってる気がするが悪魔の体調を確認する方法なんてこれくらいしかないからね。

「熱はー98℃ですー。カップ麺持ってこーい」

なんでポットの保温温度になってるんだ。

今回はあまりにも手に負えない。

誰に助けを呼ぶべきか。

「おや、いかがなさいました?あ、これお騒がせしたお詫びです」

持ってきたのは切腹最中。詫びる気無いな、この羊。

「ちょうどよかった。悪魔が壊れた」

拘束スピンしているコマを指をさす。

「……ニンゲンさん今日は天気が良いですよ」

誤魔化すの下手か!?

「やーぎーやーぎーそーこぬけー」

悪魔も煽るような歌を歌うんじゃない!

「……ニンゲンさん、大きい音を出しても?」

もしかして羊さん、ぶち切れですか?ぶち切れなのですか!?

回っている悪魔に近付いていくとつま楊枝を取り出してぶすりと突き刺した。

その途端、悪魔がパンっと破裂して粉々になってしまう。

「あ、悪魔ー!?」

何してんだ、この外道!

「やっぱり……ニンゲンさん、大変です!」

「見ればわかる!」

「ミミ君が攫われました!」

……はい?

「これはドッペルバルーン、誘拐した者の性格を模して身代わりに置いておくものです!」

「模して……?」

「そこはツッコまないで。なのでこのバルーンが使われているということはミミ君が……」

「ただいまですー」

その誘拐疑惑の悪魔、外からお帰りなさいましたけど?

「悪魔、さっきニセモノが宙吊りになってた」

「あー!うぱちゃんですねー!勝手に開けちゃダメですー」

……もはや、理解を諦めるわ。


ウチには悪魔がいる。

さっきの風船、どれがモデルだったのだろうか。

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