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悪魔がウチにおりまして・558

ウチには悪魔がいる。

すぐ読んだ本のマネをする悪魔が。


「ニンゲン、ボクの正体に気付いてしまいましたね」

「悪魔でしょ」

「気付かれたのだとしたらニンゲンの前から去らなければなりません」

「晩御飯コロッケだけど」

「コロッケ……でもでも!ボクは正体を知られたら去らねば……」

「アンタの好きなキタアカリだよ」

「卑怯者!ヒトでなし!」

謂われもないそしりを受けてますけど?

「で、今回は何?鶴の恩返し?」

たぶんどこかで読んだのでしょう。

「浦島ですー」

……今の会話に浦島太郎の流れ汲んでるところありまして?

「動画で見たです!乙姫がカメで正体知られたからいじめられてるって!だから魔女と取引して王子さまと結婚しないと!」

混ざってるのはいつものことですか。

「王子ってどこに行くつもり?日本に王子はいないよ?」

悪魔は大げさにのけ反った。

後ろからうぱが「がーん!」と書かれたプラカードを持っている。

「知ってました。だからオチどうしようかと思って」

ひとしきりのリアクションを取った悪魔は居住まいを正して腕を組む。

自分でオチって言ってるあたりそんなに心に響いてないんだろうなぁ。

「ニンゲンー。王子の代用何かないですかー?」

なんか畏れ多いこと言ってるなぁ。

「んー、神ちゃんとかは?なんか偉いでしょ」

「神ちゃんは召喚できないのですー。いえ、召喚はできるのですが今忙しいみたいでー」

あのぐうたら娘が?意外。

「お風呂に入ってたら水道管破裂させちゃったみたいで。書類全滅したそうです」

それはあの子でも慌てる。

「バックアップは?」

「まだアナログ保存の書類を持ち帰って入力している最中だったそうでー」

絶望ですがな。まぁ、それなら呼べないわねー。

「なのでニンゲン!王子を連れて来るです!それっぽくていいので!」

妥協の幅広いなー。

「羊と牛と歯医者ならどれがいい?」

「ニンゲン、それなら戦争ですよ?」

どれが地雷なのかは言うまでもないけどさ、一番それっぽいのが歯医者なのよ。

「仕方ないですねー。クモちゃん来るです!」

悪魔は寝ていたクモを呼びつけて背中に乗った。

「相撲の稽古ですー!」


ウチには悪魔がいる。

いろいろ混ぜて新たな物語を作る悪魔が。

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