悪魔がウチにおりまして・555
ウチにはニンゲンがいる。
いや、私もニンゲンなんだけどさ。
買い物から帰ると、ずんぐりとした男の人がリビングの椅子に座っていた。
警察!?通報!?
スマホを取り出したところで男は話しかけてくる。
「ミミはまだ帰りませんか?」
みみ?誰だ?
あまりに唐突に悪魔の名前を出されたところで手は止まった。
「知り、ませんけど」
「ルーズなのは相変わらずだなぁ」
頭の後ろを掻きながら再びテーブルに置いてあるコーヒーに口を付けた。
「あの、悪魔の知り合いで?」
「……まぁ、そんなところです」
妙に歯切れが悪いな。
やっぱり通報しましょうかしら?
「あー!もう来てたですかー」
そんな時にクローゼットから悪魔が出てきた。
「遅刻。今度チョコパフェ奢りな?」
「ボクが!お金無いの!知ってるくせに!」
なんか距離近いな。
「悪魔、知り合い?」
「……そんなところです」
なんで悪魔も歯切れ悪いのよ。
「それより時間無いから。早く決めること決めよう」
男が急かすと立ち上がって悪魔の部屋に。
てか、この人デカいな。
「暇人の癖に生意気ですー」
「お前が言うな」
和気あいあいと罵りながら悪魔の部屋に向かっていくのだった。
「……怪しい」
「ですね!ミミ君がニンゲンさん以外のニンゲンとげふぅ!?」
あ、羊ゴメン。いきなり出たものだから。
「やっぱり変よね、あんな人知らないし」
「いきなり殴らないのでアナタより安全ですけどねっ」
おう、もう一回殴られたいようですな?
「じゃ、今後ともよろしく」
「わかったですー。もっと甘い物よこすですー」
話し合いが終わったのか悪魔が見送りながら男の人が玄関に向かう。
こちらに一瞥をくれるとそのまま出て行ってしまった。
「また来るです、作者ー」
あんだって!?!?
「アク!?あの人誰だって!?」
悪魔、しまったとでも言いたげに目を逸らす。
「さく、さく……あー!流れ星!」
「今は昼だ!!」
ウチにはニンゲンがいた。
ニンゲ……ニンゲンなのかなぁ?




