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悪魔がウチにおりまして・554

ウチには悪魔がいる。

部屋の真ん中でどーんと座ってる悪魔が。


「はい、掃除の邪魔ー」

なんかどなたか8つ脚との落差が激しく感じますが日ごろの行いです。

掃除機凸しても微動だにしないし、コイツ。

「ニンゲン、ブシ道とは良いですね」

ほぉら、こっちの話なんて聞いちゃいやしない。

「また刀に目覚めた?」

コイツ時々武器にハマるからなぁ。

「刀?なんのことです?あんなの振ったら折れちゃうです」

よぉし、今回もトンチキな会話になるぞう。

「はい、前提すり合わせ。あなたは何の話をしてますか」

「カツオブシです」

すり合わせ完了しました、面倒です。

「把握。カツオブシの話をしたいのね」

「ニンゲン、賢くなりました」

ド突いていいかなー?

「なんでカツオブシにハマったのよ」

「アレはすごいのです!」

本題に入った悪魔は目を輝かせた。

「削ってお湯に入れるだけであんなに美味しいおダシが出るんです!天才です!宝です!」

純粋にこっちのことを、食べ物とはいえ誉められているのであれば悪い気はしませんなぁ。

「アンタ、使ってるのカツオブシだけ?」

料理談義ならば殴ることはありません、沼に沈めましょう。

「もちろんです。至高の味は濁らせたらいけません!」

ふふふ、まだまだ未熟よのう。

「悪魔くん、ここにある1枚の板。コレを今度使いなさい」

「ニンゲン!これはなんです?真っ黒です」

悪魔に渡したもの、聡明なヒトならわかっているだろう。

「ふふふ、みなまで言わすな、悪魔よ。騙されたと思って使ってみるがいい。お湯にくぐらせるだけで良いからね」

「わかったのです、騙したら呪うです」

おいこら。

せっかくキレイに終わりそうだったのに。


後日。

「ニンゲン!何なのです!この板は!カツオのうま味が引き立つ、ドーピングなのです!」

悪魔が煮物を作ったその日、味見をした悪魔はキッチンから飛び出してきた。

「使ってしまったか……昆布よ!」

「コンブ!」

ここからは説明が長くなりそうなので割愛。

これで悪魔を料理沼にハメることに成功したのでした。

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