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悪魔がウチにおりまして・549

ウチには悪魔がいる。

分類上怪異のはずである悪魔が。


「ニンゲン……怖い話会をしましょう……」

その被ってるシーツ、洗濯していい?明日から雨みたいだから。

「あー……ニンゲン、雰囲気って大事だと思うのです」

「私はお茶が怖い」

「ニンゲン、それじゃ話終わっちゃいます」

悪魔が日本文化をちゃんと学んでいるようで。

「この季節に怖い話なんて聞いたら夜眠れなくなるでしょ」

「大丈夫です、ほんわか温かみのある怖い話をセレクトしてますので」

それは怖い話なのか?

「と、言うわけでロウソク買ってきますねー」

「待ちなさい、何本?」

怖い話とロウソクって言うと百物語の匂いがするんだけど。

「100本!と言いたいところですが、10本を吹いたり消したりしますー」

悪魔、それたぶん火が点いてません。

「おや、ミミ殿。そんなに慌てていかがちました?」

悪魔の出かける直前、編み笠を被った狐が帰ってきた。

「ごんちゃん!怖い話会をですね、ニンゲンがしたいって」

言ってないぞー、息を吐くように嘘つくなー。

「ニンゲン殿、怖いはなちを聞きたいのですか?」

「季節考えて。夏にならわかるけど」

そうは言っても肝試しする必要ないくらいに化生に囲まれて暮らしているんだけどね。

「ほう、この季節向けのぽかぽか怪談ならよろちいので?」

流行ってんの?そのぬる怖トーク。

「ごんちゃんもネタあるですかー!」

「ええ、それは今日のように桜が舞い散る、そんな頃でちた……」

そのまま始めるんじゃない、ロウソクないでしょう。

それがちが陽気に誘われつい木のちたでうとうとちており」

「ニンゲン、ほら正座で聞くです」

やだよ、ここ玄関よ。

「そよ風もさわやか、これは良い場所と横になり午睡を頂いていたのです」

昼寝から怖い話?どう行くんだろう。

「時がどれほど経ったのでしょう。何やら身体が揺れています。目を開くと……」

悪魔が身を乗り出して身体を揺すっている。

「檻の中で運ばれておりまちた」

『は?』

「保健所、というのでしょうか。それがち保護されてちまいました」

……怖くない!?ガチのヤツじゃない!

「あの時は焦りまちたねぇ」

「ごんちゃん……よくぞご無事でしたね……」


ウチには狐がいる。

「建物に着いたら爆破ちて逃げまちた」

そっちも怖いよ。

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